東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が7月9日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。東京都医師会が「抗原検査」を推奨する理由と新型コロナウイルスの治療薬として期待される「イベルメクチン」について解説した。
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新型コロナウイルス対策で入国者を対象とした唾液による抗原定量検査風景が関西空港検疫所で公開された。受付シーン=2020年9月30日 写真提供:産経新聞社
精度が上がっている「抗原検査」
飯田浩司アナウンサー)抗原検査ですが、これは広がりつつあるのですか?
尾﨑)国の方も「抗原検査をやってください」ということで、高齢者施設や学校、職場などに配ろうとしています。抗原検査は「定量」と「定性」があるのですけれども、空港などで唾液を採取してやるのは「定量検査」です。PCRに匹敵するような精度があるということで使われています。
手軽な「抗原定性検査」でも感染力の強い人は十分拾える
尾﨑)「定性検査」は15分くらいで結果が出て手軽なのだけれども、精度に問題があるのではないかと言われていたのですが、かなり精度が上がっています。少なくとも、感染力を持った人、つまり「いま他人にうつす可能性のある人」については、抗原検査で十分拾えるということがわかって来ています。
PCR検査で陽性でも感染力のない人は多い
尾﨑)PCR検査は、感染はしているのだけれども、ウイルス量が少ないような方ももちろん引っ掛かります。そういう意味では、精度は高いのですが、逆を言えば、感染してからしばらく経過して、「PCRが陽性でも感染力がない人」はたくさんいるわけです。感染力があり、人にうつす恐れのある人をまず拾い上げるには、抗原検査で十分ではないかという判断のもとに、いまこれを進めて行こうと思っています。
飯田)なるほど。突き詰めれば、「人にうつすかうつさないか」というのがいちばん重要になるので、そこを拾い上げる手軽な方法が抗原検査であると。
尾﨑)そうだと思います。
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新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー
抗原検査が安く受けられるようになれば飲食の前に検査することも可能に
飯田)ちなみに、コストとしてはどれくらいかかりそうですか?
尾﨑)現状では1人3000円くらいかかるのですが、さらに普及して、キットを大量生産できるようになれば、値段は安くなるはずです。将来的に、1人1000円くらいでできるようになると、飲食の前やどこかへ行く前に検査をして、ある程度心配しないで活動できるということになれば、このくらいの負担は皆さんしていただけるのではないかと思います。また、その程度であれば、国や自治体から援助してくれる仕組みもできるかも知れません。
飯田)飲食店が宴会のパッケージのなかに入れておいて、その分も含めてやってくれたら安心ですし、自治体も半額程度であっても補助してくれれば相当助かりますものね。
尾﨑)そうだと思います。
飯田)そうなると、大規模なイベントも含めて、日常が戻って来そうな感じがありますね。
尾﨑)そう思います。
安価で経口投与できる治療薬「イベルメクチン」
飯田)あとは治療薬ですか。
尾﨑)治療薬もいろいろな抗体を混ぜた抗体医薬ができていまして、有効なのですが、点滴静注で値段も高いです。一方、「イベルメクチン」という治療薬があります。ある医学雑誌には、「6割程度の重症化予防ができる」というデータも出ています。これに関しては、我々も協力して治験を始めることになっています。イベルメクチンは安いし経口投与ですから、我々診療所の医者でも使えます。抗体医薬は効くのですが、値段が高いのと、点滴静注なので、入院した方でないと使えないわけです。