最後のお別れができない新型コロナの「患者と家族」にどう寄り添うか
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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センターの徳原真氏が7月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「緩和ケア」について、また、緩和ケアから見た新型コロナウイルスの問題について語った。
「緩和ケア」とは
新行市佳アナウンサー)徳原さんは緩和ケア科の医長をつとめていらっしゃいます。「緩和ケア」とはどういうものなのか、教えていただけますか?
徳原)「緩和ケア」というと、ホスピスや末期ガンの患者さんを診ることだと思う方が多いのですが、末期の人だけではなく、病気になったことによって起こる苦痛をはじめとするさまざまな問題や症状を緩和するのが緩和ケアです。
新行)対象は末期ガンの方だけではないのですね。
ガンになった瞬間から緩和ケアが始まる
徳原)「あなたはガンですよ」と言われたらショックですよね。その瞬間から緩和ケアが入って、サポートをします。
新行)そうなると、いろいろな科と連携して動くことが多いのでしょうか?
徳原)いろいろな科と連携しますし、私は医師ですけれども、医師だけではなく看護師さんや臨床心理士(カウンセラー)さん、ソーシャルワーカーの人などと連携させていただきます。ガンになったことによって、仕事やお金の問題も出て来ますよね。
新行)そうですね。
徳原)子どもにどうやって話すかなど、さまざまなことが出て来るので、大きな病院では、医師や看護師だけではなく、いろいろな職種の人と緩和ケアチームを組んで対応しています。
最後のお別れができない新型コロナの患者と家族
新行)緩和ケアからご覧になった今回の新型コロナウイルス感染症というのは、どのように映りましたか?
徳原)新型コロナに感染すると、元気だった人が瞬く間に亡くなってしまうということがあります。いままでそういう病気は身近にはありませんでした。もしかすると、それによって死に直面するという1つの機会にはなったのではないかと思います。またコロナで亡くなる方には、最後のお別れができないという問題がありました。病院の感染管理という問題から、面会もなかなかできなくなっています。
新行)状態を知ることができず、いきなり「容体が変わりました」ということを知らされると、心が追いついて行かないですよね。
徳原)それと、言葉で説明されているだけではわからないですよね。
新行)そうですね。
徳原)面会に行き、患者さんであるご家族を見て、「ああ、弱って来ているのだな」というのがわかることによって、ある程度心の準備ができるのが普通だと思うのですけれども。病院によっては、まったく面会ができないとか、できても週1回というところもあります。それでは、その状況、その段階は見えないですよね。患者さん本人にとっても、ご家族にとっても、辛い状況だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます