子どもの間で大流行している「RSウイルス感染症」~ここでもベッド数が足りない

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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「RSウイルス感染症」について解説した。

子どもの間で大流行している「RSウイルス感染症」~ここでもベッド数が足りない

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

全国的に流行している「RSウイルス感染症」

飯田浩司アナウンサー)5月くらいから、子どもの間で「RSウイルス感染症」が大きな流行になっています。一緒に働いている同僚が、「子どもが熱を出した、RSかも知れない」と言ってシフトを変わることがありました。影響を受けている人が多いのではないかと思いますが、いま流行っているのですか?

川上)全国的に流行しています。特に東京は桁違いに多い数になっています。国が出している統計を見ても、例年より1桁違います。

飯田)そもそもRSウイルスについて、どういうものか教えてください。

川上)ウイルス性の風邪症状をもたらします。ただ、0歳~1歳くらいの子どもが罹ると、ときに細気管支炎を起こして、呼吸困難になるという怖い病気です。現在ですと、大人の世界では「コロナだったらどうしよう」と思いますが、私たち小児科医にとっては、「RSだったらどうしよう」ということになります。人工呼吸管理が必要なくらい重症化することもあります。多くの病院のベッドがRSで埋まって来て、入院させようと思っても、ベッド探しに苦労するくらいの状況です。

マスクや手洗いをしていても流行っているRS

飯田)何をすれば予防できるのですか?

川上)これが不思議なのです。いまコロナ禍で皆さん、マスクや手洗いをしっかりしているのですが、それでも流行っています。

飯田)去年(2020年)は、「RSも含めて抑制できた」というような話を聞いた気がします。

川上)去年はコロナ以外は何も出なかったのです。今年はなぜか、RSが爆発しています。原因はわかりません。通常、RSウイルスは初めて罹ったときがいちばん危ないと言われていますが、去年まったく流行っていないので、初めて罹るお子さんが通常なら0歳か1歳前半の子どもだったのですけれど、今年は2歳台の子たちも初めて罹ることがあります。重症の子が多いというのは、そこにも原因があるのかなと思っています。

子どもの間で大流行している「RSウイルス感染症」~ここでもベッド数が足りない

新行市佳アナウンサー、川上一恵氏、飯田浩司アナウンサー

大人でも罹るRS感染症

飯田)2回目、3回目になるとある程度、免疫のようなものが体にはあって。

川上)そうですね。ですから大きい子どもですと、咳のしつこい風邪というくらいで済みます。一緒にお子さんを連れて来た親御さんも咳をしていれば検査するのですが、大人にも感染します。それが子どもへと、お互いにうつし合っているのですね。

対症療法しかない

飯田)治療方法などはありますか?

川上)対症療法しかありません。

飯田)そうすると、咳が出たら咳を鎮めるお薬を出したり、熱が出たら熱さましを出すような形ですか?

川上)そういうことになります。ただ咳も強力に止めてしまうと、かえって痰が詰まってしまうこともあるので、いかに上手に痰を切りながら、体力が落ちない程度に咳を止めるかという対処になります。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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