ネット上のワクチンデマ ~表現の自由とのバランスをどう取るか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月18日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。ワクチンに関するデマの拡散と防止策について解説した。
ワクチンに関するデマの拡散と防止策
新型コロナウイルスのワクチンについて、若い世代を中心に接種を躊躇する動きが出ている。ここでは、ワクチンに関するデマの拡散と防止策について考える。
新行市佳アナウンサー)ワクチンに関するデマの拡散と防止策についてですが、どう思われますか?
どこまでワクチンデマのような情報を検索できるようにするのか
佐々木)インターネットで情報を検索すると、「ワクチン デマ」や、「ワクチン 危険」というように、予測変換というものがあって、キーワードを入れるともう1つのキーワードが追加されて出て来るではないですか。あれによく「危険」とか「やめた方がいい」などと出て来てしまうので、「ワクチンは大丈夫かな」と不安を持っている人がネットで調べると、ますます不安になってしまうという問題があるのです。
新行)さらに不安にさせてしまう。
佐々木)どこまで、そういうデマのような情報を検索できるようにするのかということは、重要な問題なのです。
すべて禁止してしまうと、表現の自由に抵触してしまう~ワクチンデマを削除する方向に出ているグーグル
佐々木)一方で、すべて禁止にしてしまうと、今度は表現の自由に抵触してしまうという問題がある。ただ、今回はグーグル……検索エンジンでは、世の中で最も広まり、日本でもほとんどの人が使っていると思いますが、グーグルが積極的にワクチンデマを打ち消す方向に出ています。
新行)グーグルが。
佐々木)いまワクチンという単語で検索しても、デマ系のサイトはほとんど出て来ません。冒頭に厚生労働省や医師会など、権威のある情報源しか出て来ないように対策を取っています。これは非常に重要なことなのですが、どこまで削除するのか。
グーグルというプラットフォームに善悪の判断を任せなくてはいけない
佐々木)インターネットは、誰かが「この情報は見せるけれども、この情報は見せなくてもいい」と決めているわけではなく、「人々が見たい情報を見せるようにしている」というところがあります。これはグーグルのテクノロジーの根幹にある考え方で、「みんなが見たいものをなるべく見せましょう」というものです。そうすると、みんなが見たいものがデマだったら、デマを見せましょうという話になってしまうわけです。
新行)みんなが見たいものが。
佐々木)グーグルという巨大なプラットフォーム側に、善悪の判断を任せなくてはならないということになる。これは厳しい問題です。
表現の自由とのバランスをどう取るか
新行)そのバランスの取り方が難しいですよね。
佐々木)デマの問題が難しいのは、例えば、アメリカでは少数の人たちがワクチンデマの根源になっていて、その人たちだけで何十億円も儲けている。YouTubeなどで配信すると広告が付くではないですか、その広告が莫大な売り上げになっているのです。そのようにワクチンデマが一種のビジネスになってしまっているという指摘もある。それを許しておいていいのかということは大変重要な議論なのだけれども、それ以上に、「表現の自由とのバランスをどうするか」ということが難しいところだと思います。
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