【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1018回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、10月8日公開の『人と仕事』と、大ヒット公開中の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をご紹介します。
映画館で観たい!『人と仕事』 自分の仕事は、世の中に必要なのだろうか……
有村架純、志尊淳の出演で制作予定だった1本の劇映画。しかし2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、制作を断念せざるを得ない状況になってしまいました。
そんな状況下にも屈しなかったのが、世の中に一石を投じる作品を世に送り出している河村光庸エグゼクティブプロデューサー。森ガキ侑大監督に「(劇映画と)同じチームで、ドキュメンタリーを撮ってみないか」と、提案したのです。
そうして生まれたのが、『人と仕事』。新型コロナに打ちひしがれた日本の職場で働く“声なき仕事人”たちの現状を伝える、リアルストーリーが誕生しました。
『人と仕事』のあらすじ
有村架純と志尊淳。名実ともにいまもっとも旬な俳優2人が、さまざまな職業に就く人たちの元を訪ね、職場が直面する数々の問題に触れて行く。
“エッセンシャルワーカー”と呼ばれる保育士や介護福祉士。農業従事者や夜の街で働く人々。彼らと出会い対話するなかで、急速に変化した社会における「人」と「仕事」の在り方について考える2人。
そして、それでもたくましく生きる人々の姿を追いかけるうちに、やがて彼らは自分たちの仕事・俳優業と重ねて行く……。
『人と仕事』のみどころ
本作の特徴は、有村架純と志尊淳、2人の俳優が役を演じるのではなく、そのままの“自分”としてスクリーンに登場していること。
夜の渋谷の街へ飛び出し、同世代の若者に突撃インタビューを敢行する志尊淳。コロナ禍でシングルマザーとして孤独に奮闘する母親や児童相談所の職員と向き合い、言葉を選びながら話を聞き出して行く有村架純。
“仕事”に取り組む姿は真摯で、彼らの素直でまっすぐな“人となり”が伝わって来ます。
私たちが生活して行く上で、必要不可欠な仕事に従事しているエッセンシャルワーカーだけでなく、バスケットボール選手やホストクラブの経営者に風俗嬢、さらにはホームレスと、実に幅広い人々の声を集めた本作。
ニュースで語られる情報とは一味違った視点から、コロナ禍の現在を見つめることができる1作です。
コチラも映画館で観たい!『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』 6代目007、ダニエル・クレイグが最後のジェームズ・ボンド役に挑む!
イギリスの敏腕諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描いた、人気シリーズ第25弾。現役を退いたボンドだったが、CIA出身の旧友フィリックス・ライターに助けを求められたことから、誘拐された科学者の救出という過酷な任務に挑む……。
往年のファンが歓喜しそうな『007』シリーズのクラシカルなテイストを盛り込みつつ、現代的なエッセンスを取り入れた演出は、まさに芸術の域。そして、ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグの洗練された姿は、言葉にならないほどに美しい。
本作が最後となる“クレイグ版ボンド”の活躍を、スクリーンで刮目せよ。
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『人と仕事』
2021年10月8日(金)から全国3週間限定劇場公開
出演:有村架純、志尊淳
監督:森ガキ侑大
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
音楽:岩代太郎
配給:スターサンズ、KADOKAWA
(C)2021「人と仕事」製作委員会
公式サイト https://hitotoshigoto.com/
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
大ヒット公開中
出演:ダニエル・クレイグ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、ラシャーナ・リンチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、ジェフリー・ライト、クリストフ・ヴァルツ、レイフ・ファインズ、アナ・デ・アルマス、ビリー・マグヌッセン、ロリー・キニア、デヴィッド・デンシック、ダリ・ベンサーラ
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、フィービー・ウォーラー=ブリッジ
音楽:ハンス・ジマー
主題歌:ビリー・アイリッシュ 「No Time To Die」(ユニバーサルミュージック)
原題:No Time to Die
配給:東宝東和
(C)2021 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト https://www.007.com/no-time-to-die-jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/