難行を成し遂げた大阿闍梨・塩沼亮潤「心と言葉と態度が伴って、はじめて相手に真実が伝わる」

By -  公開:  更新:

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月30日放送)に福聚山・慈眼寺住職、大阿闍梨の塩沼亮潤が出演。人生をより幸せにする考え方について語った。

塩沼亮潤 / 慈眼寺住職 大阿闍梨

塩沼亮潤 / 慈眼寺住職 大阿闍梨

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。9月27日(月)~10月1日(金)のゲストは福聚山・慈眼寺住職、大阿闍梨の塩沼亮潤が出演。4日目は、自分の人生をより幸せにする考え方について---

黒木)数々の荒業を成し遂げ大阿闍梨になられた塩沼さんですが、仙台にある慈眼寺では、月に2回護摩炊きをしているということです。みなさんのいろいろな願い事を炊かれるのですよね。すごく印象的だったのが、「護摩焚きをして、なおかつ願い事をしたその人たちの心の意識が大事なことなのだ」とおっしゃったことです。

塩沼)悩みを抱えている人は、自分の心にプラスとマイナスに触れる針があるとしたら、「どうして、なぜ」というマイナスの方に振れてしまっているのだと思います。そのような人でも、護摩に参加をして、私が命がけで精一杯炊いている姿に共感されたり、自分も頑張ってみようという思いが、プラスの方向に行くのです。それが願いを叶えるのです。

黒木)護摩を炊いたから願いが叶うのではなく、自分の心も変えないと願い事は叶わないということなのですね。

塩沼)そうですね。自分の心のなかで、自分の人生を「よりよい方向に持って行こう」とする心の向いている方向に運も向いて行くのです。悪い方向を向いていると、悪い方向に運ばれて行くし、ポジティブに、辛いことや苦しいこともバネにしてステップアップしていくのだと思うと、いい方向に運ばれて行く。

黒木)ポジティブに。

塩沼)私には、悪いことや嫌なことは37~38歳ごろからないのです。全部いいことばかりです。たまたま流れの悪いネガティブなことも受けたりはするのですが、結果、災い転じて福の方向に行ってしまうのです。

黒木)災い転じて。

塩沼)なぜそのようなことできるのかと言うと、「そのようになりたい」と自分のなかでイメージしていたのです。生きていると、少しのことでも「イラッ」とすることは1日のなかでもありますよね。そのときに、振れた針をすぐに自分のなかで戻してあげるのです。そのような作業が自分のなかで身に付いたのです。

黒木)触れた針を戻してあげる。

塩沼)心の針をマイナスの方向に向けていると、「どうして、なぜ」ということになりませんか。それが最後には恨み憎しみとなってしまい、とんでもない人生になってしまうのです。いつも「プラスの方に行こう」と思うといいことばかりがあります。

黒木)人として大切なのは礼儀で、「感謝、反省、敬意」である。礼儀の基本は「ありがとう」と「すみません」と「はい」の3 つだけでいいと。

塩沼)大事なことは感謝の気持ちで、この気持ちを言葉にするときは「ありがとう」になります。それと自分の笑顔の3つが伴って、はじめて相手に「ありがとう」が伝わります。逆に相手に何か迷惑をかけたときは、反省の気持ちを持って「ごめんなさい」の言葉と頭を下げるという、この3つが合わさらないといけません。「はい」もそうです。

黒木)その3つが合わさらないといけない。

塩沼)これを仏教的に勉強すると、「身口意(しんくい)の三業」とか、「身口意の三密」と言うのですが、心と言葉と態度が伴って、はじめて相手に真実が伝わるという意味があるのです。寝っ転がりながら「ごめんなさい」と言っても、許してもらえません。「それがいちばん大事で基本なのだ」という当たり前のことを自分でマスターするのに、10年以上かかりました。

難行を成し遂げた大阿闍梨・塩沼亮潤「心と言葉と態度が伴って、はじめて相手に真実が伝わる」

塩沼亮潤

塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)/ 慈眼寺住職 大阿闍梨

■1968年(昭和43年)、宮城県仙台市生まれ。
■小学生のとき、テレビで酒井雄哉大阿闍梨の比叡山千日回峰行を見て行を志す。
■1987年、高校卒業の翌年に吉野山金峯山寺で出家得度。1999年、金峰山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行を満行。
■2000年に四無行を満行、2006年に八千枚大護摩供を満行。
■2003年には故郷の仙台市秋保に慈眼寺を開山し現住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。「心の信仰」を国内外に伝えている。著書に『人生生涯小僧のこころ』『縁は苦となる苦は縁となる』ほか多数。最新刊は『幸いをいただきまして このひとときを大切に』。

◎大阿闍梨…弟子の模範になれる位が高い僧侶であり、中でも深い学識や高い徳を備え、千日回峰行などの厳しい修行を乗り越えた僧侶のみが「大阿闍梨」となる。
◎千日回峰行…数ある仏教の修行の中でも荒行中の荒行と言われ、比叡山や吉野・大峯山の山中を、悟りを求めて1000日歩き続ける。
◎四無行…「断食・断水・不眠・不臥(横にならない)」を9日間続ける。現代では千日回峰を果たしたものにしか許されない命を懸けた難行。
◎八千枚大護摩供…五穀と塩を断ち、100日間に渡り護摩を焚き上げる。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

Page top