ふるさとの味がぎっしり! 新潟・長岡の心温まる名物駅弁
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
12月4日~2022年2月13日まで、新潟県内の駅弁屋さん7社が共同で開催している「越の駅弁7箇所巡り」。オリジナルの「駅弁御朱印帳」を片手に各駅弁屋さんの直売所を巡って、オリジナルスタンプを集めていく取り組みです。コンプリートすると、特別なスタンプも集めることができます。今回は長岡駅弁「池田屋」を訪ねました。
新潟「駅弁御朱印帳」の旅 ~長岡駅弁・池田屋(第3回/全7回)
冬の日本海に沿って特急「しらゆき」が新潟駅を目指します。「しらゆき」はE653系電車・普通車のみの4両編成。上越妙高で金沢方面からの北陸新幹線「はくたか」と接続して、金沢・富山と新潟の各県庁所在地を結ぶのに加え、広い新潟県の上・中・下越地方の各主要都市を結ぶ役割を果たしています。直江津寄りの2両が指定席、新潟寄りの2両が自由席となっています。
上越の直江津では小雪が舞う程度でしたが、中越の長岡ではしっかりした雪になりました。地域によって気候に違いが感じられるのも、広い新潟県を旅する醍醐味ですね。とくに、雪道のクルマの運転に慣れていない太平洋側の人間にとっては、雪が降っても時刻通り走ってくれる鉄道の存在は、本当にありがたいもの。しかも、列車のなかは暖房が効いていて、ぬくぬくなのが嬉しいですね。
長岡駅の駅弁を手掛けているのが、明治20(1887)年創業の「池田屋」です。推し弁は、「越後長岡喜作辨當」(1150円)。平成19(2007)年発売で、来年で発売15年を迎える幕の内駅弁です。喜作辨當の“喜作”とは、池田屋創業者の永橋喜作(ながはし・きさく)氏に由来します。掛け紙には明治時代、池田屋が信濃川の水運を利用して鮮魚の仕出しをしていたころの版画が印刷されています。
長岡駅の駅弁売店は、12月11日から上越新幹線12番ホーム(東京方面行)売店での販売が再開されました(営業時間10:25~13:55)。「越の駅弁7箇所巡り」では、長岡駅東口から徒歩10分(長岡市今朝白3-13-14)にある、池田屋本社での購入が原則です。
ただ、駅弁受け取りの約1時間前までに電話予約(0258-33-2430)すれば、長岡駅まで届けてもらうことも可能です(受け取り可能時間・9:00~17:00)。
「越の駅弁7箇所巡り」をしていることを伝えると、スタンプも持って来ていただきました。池田屋のオリジナルスタンプは、喜作辨當の掛け紙をモチーフとしたもの。レトロな雰囲気を活かしながら、モダンな雰囲気に仕上げています。力の掛け具合も指南していただいて無事に押印できました。日付入れのサービスもあって、これは本当に心温まる感じです。きっと、旅のいい思い出になりますね。
【おしながき】
・ご飯(長岡産コシヒカリ) 梅干し ごま
・塩鮭
・玉子焼き
・神楽南蛮鶏団子
・金平蓮根
・油揚げとぜんまい煮
・椎茸煮
・なすと生姜の味噌漬
・笹団子
紐をほどいて懐かしい掛け紙を外すと、折のなかには、長岡産コシヒカリの白いご飯と、新潟の老舗の味が少しずつ、いいバランスで詰まっています。おかずは、塩が効いた焼き鮭とうまみたっぷりの油揚げとぜんまい煮に対し、神楽南蛮がピリッと効いた鶏団子と玉子焼きは上品な味付けで、食欲をそそります。これにデザートの笹団子も入って大満足。長岡の“ふるさとの味”がぎっしり詰まって、きっと帰省した方にもたまらない逸品でしょう。
今回の“駅弁御朱印帳”は、長岡駅弁・池田屋の永橋専務の発案。直江津駅弁・ホテルハイマートの山崎統括部長が奔走して、プロの方が新潟の魅力をおしゃれにデザインした手作りの御朱印帳を実現したそう。私の周りでは、女性からも、この“駅弁御朱印帳”を片手に、新潟を旅してみたいという声が聞かれました。この年末年始、七福神巡りもいいですが、新潟で“七駅弁巡り”を楽しんでみるのも、縁起のいい新年を迎えられそうです。
新潟エリアでは、まだ一部の列車で国鉄生まれの115系電車も活躍しています。空いている時間帯なら、モーターが大きなうなりを上げるなか、昔ながらのボックスシートに身を委ね、駅弁の包み紙を開いて、昭和の鉄道旅を追体験できるかも知れません。次回は、信越本線に揺られて、下越地方の“鉄道のまち”へ! 駅弁屋さんも3つ、軒を連ねます。来たる、令和4(2022)年もよいお年をお迎えください。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/