コロナ後、鉄道はどうすれば生き残れるのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月5日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。リモートワークが定着したのちの鉄道のあり方について解説した。
『2022年の鉄道は「大減便時代」本格到来か 首都圏でも朝の本数削減 外堀埋まる「ワンマン化」』
ここで取り上げるのは、ネットメディア「乗りものニュース」の記事。
『2022年の鉄道は「大減便時代」本格到来か 首都圏でも朝の本数削減 外堀埋まる「ワンマン化」』
~『乗りものニュース』2022年1月2日配信記事 より
コロナ以降、鉄道利用は2019年度と比較して定期が2~3割、定期外が3~5割減少している。
飯田)このニュースを佐々木さんはリツイートしています。
定着して来たリモートワーク
佐々木)1つはリモートワークが進んでいること。もう1つは、会食です。みんなで集まって、酒を飲むのは自粛ということ。この2つがリツイートした理由なのだけれど、後者の会食は、コロナが収まれば当然、復活します。
飯田)そうですね。
佐々木)リモートワークもだいぶ減ったと言われていますが、2021年秋の段階で、リモートワークを継続している企業はまだ4割ぐらいありました。大企業が中心だと思いますが、意外に定着しているのです。
飯田)リモートワーク、テレワークが。
佐々木)実際、電通のようにオフィスを売り払ってしまったという会社も大企業ではいくつかあって、いまさらもう元に戻れないので、リモートワークの波は進むだろうと。そういうことが影響して、ラッシュが減って来ている。
「集中から分散へ」の流れが進む
佐々木)これは必ずしもコロナの影響だけではなく、「集中から分散へ」という波がやって来るのではないかなと思います。ある意味、近代化は集中の時代だったではないですか。それまでは、みんな農村に暮らしていた。
飯田)そうですね。
佐々木)日本は戦争が終わったころ、人口の半分近くか、3分の1が農村人口で、農業従事者も3000万人くらいいたのです。いま、農業従事者は200万人を切っている。10分の1以下なのです。みんな、都会に引っ越して来ている。我々の世代だと、実家が田舎という人は多いのだけれど、いま東京にいる20代~30代に聞くと、実家は千葉とか、埼玉とか、東京など、首都圏なのです。
車の自動運転が進み、移動することのハードルが下がる
佐々木)首都圏や近畿圏に人口集中した時代が続いた。今後、車の自動運転が進んで来ます。いまはまだレベル2程度ですが、いずれレベル5がやって来る。レベル5というのは、完全な自動運転で、運転手が要らない。そうなると、移動することのハードルが下がって行く。例えば、家そのものが車となって動くというようなこともあり得るわけです。昼間に仕事をして、家となる車に帰って寝て、朝起きたら太平洋側から日本海側に着いているというように。
飯田)寝ている間に自動運転で移動できてしまう。
佐々木)そういうことも起こり得るので、これから大きな形で、分散への流れは進んで行くのではないでしょうか。ますますラッシュはなくなる。
リモートワークと車の自動運転が進むと鉄道はどうやって維持するのか
佐々木)みんなリモートワークになって、「なぜ、いままで苦労して、混雑した電車に乗って通勤していたのか」と。「家にいて仕事ができれば、こんなに人間的なのに」とみんな思っているわけです。そういうよい方向へ進みつつあるのではないかと思います。
飯田)よい方向へ。
佐々木)そうなると、「鉄道はどうやって維持して行くのか」という大きな問題もあります。「かなりの減益になっている」というニュースは、あちこちで出ています。公共交通機関というもの自体を、もう1回考え直す時期に来ているのは間違いありません。
飯田)それをいまのように、民間セクターでやるということが、どこまで維持できるのかというところを含めてですよね。
佐々木)そうです。国鉄を民営化して、JRにした結果、北海道などはすごい勢いで鉄道が廃線になってしまって、結局、それをバスに代替しようとしたけれど、バスではやはり無理だということになり、ほぼ車に置き換わってしまったという流れがあります。それが今後どうなるのか。自動運転の車に今後、鉄道が置き換わって行くのか。ワンマン化のような流れもありますけれど、鉄道が新たな形で、省力化・省コスト化で進んで行くのかというところは、まだわかりませんが。
首都圏の鉄道網は今後どうなるのか
飯田)拠点間輸送だけに特化する形になるのか。
佐々木)新幹線がなくなることはないと思うのですけれども。
飯田)そうすると、本当に私鉄と呼ばれるところがきつくなりますよね。
佐々木)首都圏の私鉄と東京メトロの鉄道網はどうなのか。長い期間で見ると、なかなか難しい問題だなと思います。
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