ミャンマー情勢に対して「何もメッセージを発しない」日本政府の問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月18日放送)にジャーナリストの有本香が出演。ミャンマー情勢について解説した。
ミャンマーのASEAN参加の条件
シンガポールのリー・シェンロン首相は1月14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の新議長国カンボジアのフン・セン首相とオンラインで会談を行い、ミャンマー軍政が暴力停止などASEANの5項目の合意を履行しないかぎり、ASEANの会議からは引き続き排除すべきだと訴えた。
飯田)フン・セン氏は、7日にミャンマーの首都ネピドーを訪問し、国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官とも会談しました。情勢がどうなって行くのか。
ミャンマー情勢に対して日本からのメッセージが聞こえない
有本)ASEANとしては当然、そのようなメッセージを発するしかないのでしょう。日本でミャンマーに関する報道が少ないのは、かなり問題です。日本支援村としてミャンマーでも知られている「レイケイコー村」という場所も、複数回に渡って空爆を受けているのです。
飯田)空爆を。
有本)しかし、日本からのメッセージがまったく聞こえて来ない。これは非常に問題です。ミャンマーには資源があり、人的資源も豊富で、将来性のある国だということで民政移管され、スーチーさんたちが政権を獲った。民主化されて行くなかでは、幾多の日本企業も向こうへ出て行きました。
国軍と組んでいるため、国民による日本製品の不買運動が起こる
有本)ただ、やはりある種の権力の二重構造的な部分があって、国軍が非常に力を持っていたのです。ミャンマーのような不安定な国において、仕方がない部分はあるのですが、日本企業も向こうに進出して、国軍と一緒に事業を行うというケースがあったのです。
飯田)日本企業が。
有本)それが去年(2021年)から、日本製品に対しても「国軍と組んでいるから」という理由で、国民から不買運動を起こされたのです。
ミャンマー軍事政権に対して非難決議を行った日本政府だが
有本)日本は2021年の通常国会の最後、6月に、ミャンマーの軍事政権に対して、非常に激しい言葉での非難決議をしています。これは対中非難決議とは違い、すんなりと国会で通ったのです。ここでは、「軍事政権がクーデターで政権を獲り、現在行っていることを日本は容認しない」と言っています。「だから、直ちにスーチーさんたちのような民政側と和解しなさい」ということを強く言っていました。
いまではなし崩し的に認めてしまっている ~「レイケイコー村」空爆にもメッセージを発しない外交当局
有本)軍の政権を認めないとまで言っていたのに、いまでは「外交手続きなど、いろいろとありますから」という感じで、なし崩し的に認めてしまっているのです。日本がお金や尽力をつぎ込んでいることを象徴するような地域が空爆されても、総理や外務大臣を含め、外交当局は何のメッセージも発していません。
飯田)空爆にも。
有本)「ASEANのことだ」と言って丸投げするのではなく、日本は主体的に、このことについても関与し、ものを言うべきです。どうして、ここまでメッセージ力が弱いのかと思います。
複数の日本のNGOが活動するレイケイコー村
飯田)「レイケイコー村」という場所の名前そのものも……。
有本)みんな知らないでしょう。
飯田)知らないです。
有本)ここは少数民族の地域なのですけれども、井本勝幸さんなどが農場をつくり、農業支援をしています。それ以外に、インフラなども日本の援助、あるいは日本の技術を持って行き、複数の日本のNGOが活動しています。
飯田)そうなのですね。
有本)中心部ではなかったにせよ、そういう場所が複数回の空爆を受けているのは、大変なことのはずです。そういう状況について、日本からの主体的な動きや言葉は全然聞かれません。
飯田)少数民族の地域というと、山岳地帯や奥の方という感じですが、むしろタイの国境に近いところですよね。
有本)タイの国境に近いところは、少数民族の地域が多いです。
飯田)周辺の国々も含めて、いろいろと影響がある地域です。周辺の国々からのアプローチや、日本としてできることは、いろいろとあると思います。
有本)そうですね。直近のことで言えば、難民が出ているので、この人たちに対する支援が必要です。
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