「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
いよいよ令和4(2022)年度がスタートしました。この4月から新たな生活が始まっている方も多いことでしょう。進学や就職、さらには転勤、転職などに伴って、新幹線で気持ちも新たに新天地へ移動される方もいると思います。そんな、人生の新たな一歩を踏み出すアナタの背中を押してくれる駅弁が、東海道新幹線の主要駅で販売されています。
運行開始30周年を迎えた東海道新幹線「のぞみ」が、富士山をバックに、富士川橋梁を駆け抜けて行きます。富士川といえば、大河ドラマでも描かれた源平合戦の1つ「富士川の戦い」の舞台。水鳥の羽音に驚いて平家方が戦わずして撤退したとも云われますが、新年度、新しい生活が始まる方にとっても、きょうから“戦い”の日々が始まることでしょう。気持ちのいいスタートを切るためにも、戦いの準備は抜かりなく行いたいものです。
そんな新年度の始まりに相応しい駅弁といえば、東海道新幹線「のぞみ」停車駅で販売されている、ジェイアール東海パッセンジャーズの「必勝出陣弁当」(1000円)です。もともとは、平成13(2001)年の21世紀の始まりに合わせて、縁起を担ぐとされる食材を散りばめた「21世紀出陣弁当」として登場。リニューアルを重ねながら、現在は“新社会人やサラリーマンの出張を応援するお弁当”として、1年を通して販売されています。
【おしながき】
・おにぎり(しそわかめ2個、黒米1個)
・みそかつ
・銀鮭の塩焼き
・タコ煮
・野菜の炊き合わせ(椎茸、がんもどき、人参)
・栗甘露煮
・ごぼう甘辛煮
・味付玉子
・にしん昆布巻き
・茹で枝豆
・蓮根酢漬け
・漬物
日の丸に馬に乗った武将のシルエットが描かれた掛け紙を外してふたを開けると、笹の籠のようなデザインの折に、質実剛健さを感じさせる盛り付け。戦国時代に武将が縁起を担いだとされる「勝ち栗」や「昆布」をはじめ、多くの幸せが舞い込んでくる「タコ(多幸)」、仕事等で良縁を結ぶ「おむすび」、「ん」が2つ付くと運が付くと言われる「にんじん・れんこん」も入っています。新しい仕事をビシッと決めたければ、まずは駅弁選びからですね。
富士山の手前に連なっている愛鷹山の麓を、16両編成の東海道新幹線「のぞみ」号が、一瞬で駆け抜けて行きます。東海道新幹線・三島~新富士間には、戦国時代に関東一帯を治めた後、北条氏が旗揚げした興国寺城の跡があり、東国における下剋上の幕開けになった地と評価する説もあります。日本一の山・富士を眺めながら駅弁をいただいて、戦国大名に思いを馳せながら、元気よく、新年度の一歩を踏み出していきたいものです。
(参考)沼津市ホームページほか
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/