東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が4月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ワクチン3回目接種の重要性について解説した。
デルタ株に比べて感染力の強いオミクロン株
飯田浩司アナウンサー)新型コロナワクチンの3回目接種が取り沙汰されていますが、ここがポイントになりますか?
猪口)デルタ株が収まったのは、2回のワクチン接種が終わってからでした。mRNAワクチンがデルタ株には有効で、集団免疫獲得に近い状態になり、収束と呼ぶのに相応しいところまで落ち着きました。
飯田)デルタ株では。
猪口)しかし、オミクロン株は人間がワクチン等で獲得した免疫をすり抜けて、感染させてしまうのです。日本の場合は、多くの方が2回のワクチンを打ったために、海外などに比べると、オミクロン株によって重症化している方は少ない。
3回目のワクチンを打つことによって免疫力が跳ね上がる
猪口)また、2回打っただけでは免疫力をあまり獲得できなかった方たちでも、3回目を打つと有効な免疫力を持つことが最近わかってきました。感染を防ぐ力はそれほど高くありませんが、重症化予防においては、強い力を持つこともわかっています。1回目から2回目のワクチン接種の間隔は4週間でしたが、3回目の接種はそこから6ヵ月でした。この6ヵ月置くということが、非常に重要であるということもわかってきました。
飯田)3回目の接種までの間隔が。
猪口)免疫を獲得してから、体のなかの免疫細胞が成熟化するのに時間がかかるのです。そこへ新たに3回目のワクチンを打つことによって、その効果が高まるということがわかってきました。
飯田)3回目のワクチン接種をすることで。
猪口)それから、2回だけではうまく免疫がつかなかった人たちも、なぜか3回目を打つことによって免疫力が跳ね上がるということもわかっています。「2回目の接種をしても効かなかったのに、3回目を接種して効くのか」と思っている方もいるかも知れませんが、ここが免疫の不思議なところです。ぜひ、3回目のワクチン接種をしていただきたいと思います。
従来のオミクロン株に比べて感染力の強い「BA.2」
飯田)一方で、オミクロン株のなかでもステルスオミクロンと呼ばれる「BA.2」が多くなってきたということです。今後はこのBA.2との追いかけっこになるのでしょうか?
猪口)BA.2はBA.1に比べて感染力が強い。それから倍加スピードと言いますが、次の人に感染するまでの期間が短くなっています。しかし、重症度合いはそれほど高くなく、BA.1とほぼ同じくらいではないかと言われています。
飯田)重症化率はそれほど高くない。
猪口)BA.2株への置き換わりと、3回目ワクチン接種との追いかけっこのような形になりますので、ワクチン接種のスピードを上げていきたいと思います。
重要なのはワクチン接種と感染防止対策の徹底
飯田)最後に、お聴きの皆さまにメッセージなどがありましたらお願いします。
猪口)新型コロナウイルスを防ぐには、ワクチンしか味方になるものはありません。あとは皆さんの行動です。感染防止対策を徹底しながら、ワクチン接種を進めていくことによって、再拡大することなく、次の「まん延防止等重点措置」が起きないように、皆さんで協力して感染を防止していきたいと思います。
番組情報
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます