東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。第6波による感染者の現状と3回目のワクチン接種について解説した。
ピーク時は東京での感染者が1日2万人 ~ここまで急激に感染者が拡大することは想定外
飯田浩司アナウンサー)尾﨑会長とは、お正月にこの番組でお会いして以来になります。あのころと比べて考えると、感染の主体はオミクロン株でしたが、新型コロナの第6波については、ある程度予期していた通りでしたか?
尾﨑)ある程度は予測していましたが、東京の感染者が1日2万人まで急激に増えるというところまでは、予測できませんでした。
飯田)いままでの経験から病床を増やして対策されて来ましたが、「それ以上のものが来た」という受け止め方ですか?
尾﨑)デルタ株のときの倍くらい、1万人の患者が出ても大丈夫なように病院の体制もつくりました。自宅療養者が溢れて、支援が行かなかったというところも早めに見つけ、往診ができる支援体制をつくりましたので、そちらはある程度機能していると思います。やはり入院体制が難しいですね。
重症化しなくても持病が悪化して亡くなるケースが多い ~高齢者の感染者
尾﨑)3回目のワクチン接種が終わる前に高齢者、特に高齢者施設にクラスターが出てしまい、大変なことになっています。
飯田)オミクロン株の場合、当初は若い人が中心だったのですが、感染が高齢者の方々に拡がって来ると、持病を持っている高リスクの方たちが問題になります。
尾﨑)そうですね。しかもオミクロン株は肺炎を起こすケースは少ないのですけれど、熱が出ることで衰弱するので、高齢者で持病を持っている方は、持病が悪化して亡くなってしまうケースがほとんどなのです。重症化していないにも関わらず、亡くなられてしまうということになる。
第6波の約7割が家庭内感染、約3割が施設内感染
飯田)第6波は家庭内感染が多いとも言われています。そうすると、1人ひとりがどう気を付けるかということになりますか?
尾﨑)7割くらいが家庭内感染と言われています。そして残りの3割の大部分が施設内感染です。10歳以下の方と80歳以上の方は、ほとんどが施設内での感染です。10歳以下の子どもは保育園などで、高齢者は介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどで感染しています。それ以外はほとんど家庭内感染です。
3回目のワクチン接種を受けることで発症も重症化も防ぐことができる
飯田)やはりワクチンの力は大きいわけですか?
尾﨑)ワクチンを3回打つと、発症予防効果も1割~4割に落ちていたのが7割に上がります。重症化予防も7割くらいだったものが9割に上がるということで、やはり3回目を打てば、かなり感染が防げると考えられますし、重症化しない確率が高くなります。3回目を打つということは大事です。
飯田)去年(2021年)の夏ごろの記憶を思い出すと、現場の頑張りで高齢者のワクチン接種が相当進みました。同じことをやらなければなりませんね。
尾﨑)3回目の接種が遅れたことは否めませんが、いまからでも接種することは大事です。
打てるワクチンを早く打つことが重要 ~新型コロナワクチン3回目接種
飯田)ファイザー社製かモデルナ社製かで、副反応の違いなどがメディアでも報道されていますが、その影響は出ていますか?
尾﨑)予約のときに「どちらのワクチンですか」と聞かれることが多いですね。モデルナ社製は多少、熱が出る確率が高いのですけれど、約2日間で終わります。どちらでもいいから、とにかく機会があれば早く打ち、早く抗体を上げておくことが大事だと思います。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます