御殿場線・山北の桜並木を眺めて、花見気分でいただいた駅弁とは?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

桜満開 花見べんとう

画像を見る(全7枚) 桜満開 花見べんとう

東海道本線の国府津から御殿場を経由して、沼津までを結ぶ御殿場線。途中の山北駅近くには、春になると多くの人でにぎわう桜の名所があって、今年(2022年)は4月はじめに見ごろを迎えました。その御殿場線の始発駅・国府津を拠点としていた小田原駅弁・東華軒には、花見にピッタリの春限定駅弁も登場中。久しぶりに山北の桜を愛でて、小田原のお花見駅弁をいただいてみました。

313系電車・普通列車、御殿場線・山北~谷峨間

313系電車・普通列車、御殿場線・山北~谷峨間

神奈川県の“鉄道と桜”の名所といえば、御殿場線の山北駅周辺が有名です。とくに駅周辺の数百メートルは、見ごろを迎えると桜のトンネルとなり、その下をオレンジ色のカラーリングが施された列車や、小田急線から乗り入れてくる御殿場行の特急ロマンスカー「ふじさん」が通過して行きます。その美しさから、「かながわのまちなみ100選」の1つに選ばれており、この春も散策や撮影を楽しむ人の姿が多く見られました。

山北鉄道公園

山北鉄道公園

御殿場線は昭和9(1934)年の丹那トンネル開通まで東海道本線でした。戦争中に全線単線となり、いまは国府津(こうづ)~沼津間を普通列車が約1時間半で結んでいます。なかでも、山北では蒸気機関車の時代、補助機関車の連結・解放を行うため、列車が長時間停車して「鉄道のまち」として賑わいました。いまも、駅周辺は山北鉄道公園として整備されており、かつて活躍したD52形蒸気機関車が保存されています。

桜満開 花見べんとう

桜満開 花見べんとう

現在、御殿場線が“分岐”する国府津は、明治時代から大正時代にかけては、小田原の市街地へ向かう馬車鉄道(後に路面電車、熱海線)が発着して、賑わいました。この国府津の駅弁屋さんとして始まったのが、いまの小田原駅弁・東華軒です。国府津駅から御殿場線の旅を楽しむなら駅前にある売店で駅弁を買い求めたいところ(注)。現在は春限定、桜色の掛け紙が目を引く「桜満開 花見べんとう」(1100円)が販売されています。

(注)国府津駅前売店は、商品数が少ないため、確実な入手は予約がお薦めです。

桜満開 花見べんとう

画像を見る(全7枚) 桜満開 花見べんとう

【おしながき】
・筍ごはん 桜えび 錦糸玉子 グリーンピース
・鰆山椒焼き
・有頭海老塩焼き
・三色串天
・竹輪磯辺揚げ
・いんげんちぎり揚げ
・鶏そぼろ
・煮物(高野豆腐、筍、椎茸、ふき、人参)
・酢蓮根
・いんげん
・大根つぼ漬け
・桜餅

桜満開 花見べんとう

桜満開 花見べんとう

八角の折箱には、桜えびが入った彩り華やかな筍ごはんをメインに、おかずにも春らしい鰆の山椒焼きに、おめでたい有頭海老の塩焼きが入って、お花見気分が溢れています。東華軒によると、今シーズンの「花見べんとう」は、三色串天やいんげんちぎり揚げなどが、新たにおかずのラインナップに加わったとのこと。バラエティ豊かなおかずを味わいながら、デザートの桜餅までずっと春の味を楽しめるこの駅弁は、大型連休までの販売予定です。

小田急60000形電車・特急「ふじさん」、御殿場線・御殿場~足柄間

小田急60000形電車・特急「ふじさん」、御殿場線・御殿場~足柄間

御殿場線は、相模湾を望む海辺の国府津から、富士山が間近に迫る標高457mの御殿場まで力強く登って行きます。御殿場は標高が高い分、桜の見ごろが若干遅めのことも。富士山の真っ白な雪と桜の花を一緒に楽しめるのも御殿場線ならではの風景です。なお、特急「ふじさん」は、途中の松田から分岐して小田急線の新宿発着で御殿場と結びます。さまざまなルートや車両を組み合わせながら楽しみたい、御殿場線の旅です。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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