過敏性腸症候群(IBS)にならないためには「頑張りすぎない」こと
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東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が5月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。過敏性腸症候群(IBS)について解説した。
過敏性腸症候群(IBS)になったら何科にかかればいいのか ~「機能性消化管障害」専門
飯田浩司アナウンサー)学校や会社に行こうとするとトイレに行きたくなるという過敏性腸症候群(IBS)についてですが、疑わしい症状が出た場合は、何科にかかればいいのですか?
鳥居)専門にしているのは消化器内科になると思います。消化器内科のなかでも、潰瘍やがんがないにも関わらず、いろいろな腹部症状、あるいは便通異常が出る症状を「機能性消化管障害」と言うのですが、機能性消化管障害を専門にしている先生のところがいいと思います。インターネットで調べてみてください。
新行市佳アナウンサー)メンタルの影響を受ける病気だということですが、消化器内科にかかりつつ、自分の精神的な部分をケアするために、他の科にかかることもした方がいいのでしょうか?
鳥居)そうですね。消化器症状が中心であれば、まずは消化器内科に来ていただきますが、メンタル面で困っている場合や特殊な治療が必要な場合は、心療内科にも行っていただくことがあります。
便潜血反応の検査
飯田)診断をつけるためには、どういう問診や検査をされるのですか?
鳥居)便潜血反応というものがあるのですが、検診で大腸がんのスクリーニングに使っています。それを行うことによって、似たような症状を呈する場合があります。1つには大腸がんがあります。もう1つは、若い人であれば、潰瘍性大腸炎やクローン病という病気があります。炎症性腸疾患です。下痢が慢性的に続き、酷い場合には血便が出ます。そこまでには至らない場合でも、便潜血反応を調べると少量の血液を見つけることができますから、陽性の場合には、大腸内視鏡検査などの専門的な検査をおすすめしています。2回やって2回とも陰性であれば、ほぼそういう病気はないと考えて、過敏性腸症候群と考えることができます。
飯田)定期的な健診(検診)や人間ドックで便の検査をすることがありますが、毎年受けるだけでも違いますか?
鳥居)大腸がんの検査として行いますが、陰性であれば他の潰瘍性の病気も否定できますから、やはり受けることをおすすめします。
過敏性腸症候群にならないためには
飯田)どんな治療方法があるのでしょうか?
鳥居)いちばんよく効くのは薬剤ですが、まずは食事・運動・生活習慣を見つめ直して、ストレスを取り除きます。過敏性腸症候群になる方は、頑張りすぎている方や、100点を狙おうとしている方に多い傾向があります。
飯田)頑張りすぎる人。
鳥居)75点でも満足するような考え方を説明します。そうすると少し気持ちが楽になって、ストレスが緩和されるようです。
飯田)75点で満足する考え方。
鳥居)アメリカでは「認知行動療法」と言われるのですが、「いま、なぜ自分がそういう状況に陥っているかを考えて、行動で治していく」という治療法です。行動療法の1つは歩くことで、運動をすすめています。
飯田)運動を。
鳥居)それから、お通じの状態や症状を書く「お通じ日記」をつけてもらいます。これも1つの行動療法になると言われています。75点主義で、1日に10分~15分でも外をウォーキングするということを進めながら、日常生活を乗り越えてもらいます。
新行)日常生活で注意することがあったら教えてください。
鳥居)いちばん大切なのは頑張りすぎないことです。もう1つは、あまりこれを強い病気だと考えない方がいいと思います。会社などでも、どうしてもマイナスのイメージがあり、「気のせいだろう」などと言われてしまうことがあるのですけれど、決してそうではありません。デリケートな方に起きる病気です。非常にいい薬もありますので、ぜひご相談なさってください。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます