東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が5月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。今後の地域におけるかかりつけ医について語った。
地域で「かかりつけ医」を増やす ~現在活躍している医師に新たに総合診療医の資格を持った若い医師が加わる
飯田浩司アナウンサー)医師の養成の部分で、大学には総合診療医に関するコースがあるのだけれど、さまざまな課題があるということです。そのなかで、病院などとどう絡んでいくのかということですが、具体的な施策はあるのでしょうか?
尾﨑)いまの研修制度は、初期研修が2年、後期研修が3年で、5年の間にどのような専門医になるかというコースになっているわけです。そのなかに「総合診療医」に関するコースがあります。
飯田)「総合診療医」のコースが。
尾﨑)ここを巣立っていく人たちが何人いるかにもよりますけれど、この人たちが主役になって、地域医療を全部任されるような時代には、まだ10年~20年掛かるわけではないですか。
飯田)そうですね。
尾﨑)その間に、いま地域で開業し、活躍している先生方にかかりつけ医の機能を持ってもらわないとならない。地域で診断している先生が、かかりつけ医的な役割ができるようになり、そして新しく総合診療医の資格を持った人が入ってきて、お互いが協力して地域のかかりつけ医を増やしていくという形にしたいのです。
開業医にかかりつけ医の機能を学んでもらう「かかりつけ医機能研修」
尾﨑)大学では専門分野を選択して開業した人に、かかりつけ医の機能を学んでもらいたいということで、「かかりつけ医機能研修」を各都道府県、東京都でもやっています。
開業医などを対象とした「日本医師会生涯教育制度」
尾﨑)もう1つは、「日本医師会生涯教育制度」という制度があります。「日医e-ラーニング」という教育コンテンツがあり、例えば、眼科の先生にビデオで「胸痛」について学んでもらう。心臓や肺の病気など、いろいろな病気がありますが、「胸痛」にはどんな疾患があるのかということを学んでもらうのです。どの科の先生でもある程度わかるようにしていただき、単位を取ってもらうのです。
飯田)なるほど。
尾﨑)繰り返し勉強することで、かかりつけ医に必要な知識を落とさないように維持していく。一方では、若い才能あふれる総合診療医の資格を持ったドクターが地域に来るのを待ち、一緒に地域住民をかかりつけ医として診ていく。そういう仕組みをつくろうとしています。
医者は死ぬまで勉強
飯田)日々の診療も行いながら勉強するとなると、お医者さんは大変ですね。
尾﨑)これまでは、いろいろな講演会に行って知識を重ねるしかありませんでしたが、いまはウェブでそれが可能なのです。ウェブで簡単な質問などもできる。夜の空いた1~2時間でも学ぶことができるのです。
飯田)やはり日々是勉強なわけですか。
尾﨑)医療は日々進歩します。治療法や薬もそうです。2~3年ほど新しい知識が入ってこなければ、かなり遅れてしまうわけです。医者は死ぬまで勉強です。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます