管理栄養士・神田由佳さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。雑穀や五穀米の選び方、あらゆる病院に通っていた頃の食生活、体の不調が改善した食事「ご飯と味噌汁生活」などについて語った。
神田さんは管理栄養士歴25年で、今までに2万人以上を栄養指導。流行の食事法を取り入れたことで、自身の体調を崩した経験から、カロリー計算・栄養バランス・からだにいい食材にばかり注目した健康法に疑問。食事を栄養補給の作業にせず、「楽しく・おいしく・食べる」を理念に活動している。
■より良い「雑穀」を選ぶ
上柳:先ほど、神田さんから「雑穀」を頂きまして。“岩手県産100%契約農家で栽培 体質改善ブレンド五穀”と書かれていますね。
神田:私がお勧めしている雑穀で、「ヒエ」「アワ」「いなきび」「大麦」「もちきび」が入っています。
上柳:中には「お米は白米じゃないと……」という方もいますが、私は五穀米が大好きで。でも、雑穀や五穀米を私達はなんとなく買って来て、なんとなく入れて食べていますが、ランクとか、いい・悪いがあるのでしょうね?
神田:実は雑穀も生鮮食品です。野菜や果物と同じなので、鮮度がすごく重要です。
上柳:ほう。
神田:なので、キュッと密閉されている袋に入っていることが、まずは大事です。そして、炊く時に水を入れますよね? その時、プカプカと浮いてこないものがいいですよ。
上柳:えっ? 雑穀は水に浮くイメージがありますが……。
神田:たぶんほとんどの人が、浮いているイメージを持っていると思います。
上柳:雑穀って沈むんですか?
神田:スーッと沈みますよ!
上柳:その、いい雑穀、沈む雑穀って何が違うんですか?
神田:生鮮食品なので、やっぱり空気に触れるとあまり良くないんです。
上柳:酸化してしまうということですか?
神田:はい。米をペットボトルに入れて冷蔵庫に入れましょう、というのはよく聞くと思いますがそれと同じです。
■「雑穀」と「玄米」どちらを選ぶべきか
上柳:雑穀は体にとって何がいいんでしょうか?
神田:白米との違いでいうと、ビタミンとかミネラルが多いので、代謝をサポートしてくれます。
上柳:玄米もビタミンが豊富だと言いますよね?
神田:もちろん玄米でもいいんですが、玄米って周りが固いので、胃腸が弱い方、お子様とかご高齢の方には負担がかかってしまいます。
上柳:なるほど、消化が大変なんですね。
神田:雑穀は粒が小さいので、お子様からご高齢の方までみなさん食べやすいです。消化がいいというところが、おすすめしている理由です。
上柳:なるほど。
神田:一食で何か体が変わるわけではないですが、やはり、日々の積み重ねが大事だなと感じています。
上柳:そうですよね、瞬間的に良くなるのではなく、ゆっくりと時間をかけて、より良い体にしていこうということですね。
■あかぎれ、低体温、便秘、イライラ……パンばかり食べていた頃の不調
上柳:神田さんのホームページを見て、とても興味を持ったのが「ご飯と味噌汁生活」です。
神田:実は私、ご飯が好きなわけではなかったんです。
上柳:ほう。パン派ですか?
神田:すごいパン派で。
上柳:すごいパン派?(笑)
神田:だから一人暮らしをしていた頃も、米と味噌が無かったんですよ。
上柳:ああ~(笑)。パン、おいしいですからね。
神田:でも、ずっと何かしらの不調があり、私は病院通いをしていたんです。
上柳:その一人暮らしの時、味噌やお米が無くて、何を食べていたんですか?
神田:パンです……(笑)
上柳:その時は管理栄養士だったんですよね?
神田:管理栄養士です(笑)
上柳:困った方ですねぇ(笑)。体には良くない、とは思ってはいたんですか?
神田:分かってはいました。だけど、パンが大好きで。
上柳:おいしいパンがたくさんありますからね。それで、どんな不調があったのですか?
神田:まず、体温が35度。アトピーではなかったんですけど、手がすごい荒れていて。あかぎれが酷くて、絆創膏を全部に巻いているような状態で。あと、長年の便秘だったり、不調をあげたらキリがないくらいでした。
上柳:そんなにひどかったんですね。
神田:サプリメントを利用したり、いろんな食事も試したのですが、なかなか納得のいく変化がなかったので、もう一回食事の原点に戻ろうと思って、一週間「ご飯と味噌汁生活」を試したら『今までのかゆみがない!』『全然イライラしない』とか。一週間で劇的に変わったので、『もう、パンはいらないな』って思えたんです。
■野菜も肉も食べていたけれど、皮膚科、耳鼻科、内科へ通う日々
上柳:かなり偏った食生活をされていて、素人の私が聞いても、ちょっとバランスが取れていないな、と感じますね。
神田:そうですよね。
上柳:その時、きちんと野菜や肉も食べていましたか?
神田:野菜や肉も食べていました。
上柳:でもパンばかり食べて、ご飯とか味噌汁のような日本人がずっと食べてきたものを食べていなかったと。病院にはけっこう行っていたんですか?
神田:ずっと行っていました。
上柳:そんなに症状が多いと、何科に行けばいいか分からないですね。
神田:皮膚科、耳鼻科、内科へ行っていて。
上柳:耳鼻科?
神田:アレルギー性鼻炎もかなりひどくて。
上柳:診察券が財布の中にいっぱい入っているパターンですね。
神田:本当に、仕事として食の話をしても、やはり教科書通りではないと、自分の体で分かりましたね。ご飯と味噌汁生活を試しに3~4日やったら『あれ、なんか違う。今までと違う』っていううっすらした感覚があって、1週間続けたら『もう、これはやめられない』と。ご飯生活にしたら体が楽だし、生活がぜんぜん違ったんです。
■よく噛んで食べたら「便秘」が改善
上柳:管理栄養士さん的に、ご飯と味噌汁生活は何が良かったのだと思いますか?
神田:なにか特定の食べ物が悪いということではなく、ご飯と味噌汁をしっかり食べる、よく噛んで食べることが良かったなと。そして、味覚。食べ物の味を自分でちゃんと引き出して食べるようになって。
上柳:特に忙しい方々は、かき込むように食べていますよね。
神田:よく噛んで食べたら胃も腸もしっかり動くようになったので、便秘しなくなったというか、お通じがちゃんと毎日出るという風に変わりました。
上柳:味噌汁は具だくさんにしていたそうですが、どんな食材を入れていたのですか?
神田:私は舞茸が好きなので、舞茸をよく入れていて。あとは、大根、小松菜、ほうれん草、チンゲンサイなどを入れていました。
上柳:おいしそうですね。そして、それをよく噛んで食べたら、お通じも良くなったと。理にかなっていそうですね。
神田:はい。
上柳:指先のあかぎれはどうなったんですか?
神田:まず、一週間ぐらいで手のかゆみが無くなってきたので、かかないから治りが早くなりました。食事に正解・不正解を決めてしまうと、食べる・食べないという選択になってしまうと思うんですが、安心して食べたり、自分の為に食べている、という気持ちに落とし込めていくと、体が変わりやすいと思います。
管理栄養士で食の知識も豊富、肉や野菜も食べていたが、つらい体調不良に悩まされていたという神田さん。「なにか特定の食べ物が悪いということではない」としつつ、大好物だったパンの代わりに、米と具沢山みそ汁をよく噛んで食べたことで、体調が改善したと語った。最近は「これを食べればOK!」という様々な健康情報があって戸惑うかもしれないが、白米を雑穀米にしたり、みそ汁を具沢山にしたり、いつもの食事にいろいろな食材を取り入れ、ゆっくりとより良い体にしていっては。
管理栄養士・神田由佳さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報
「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/