パンライターの池田浩明さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。パンが好きすぎて、店に並んだパンを見ただけで、小麦畑を見ただけで感激してしまうという池田さんが、おいしい食パンの食べ方や、フランスパンや日本のパンについて、東京でお勧めのパン屋さんを紹介した。
池田さんはライターとして年間300軒以上のパン屋さんを巡り、日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。著書『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワーク)、『日本全国 このパンがすごい!』(朝日新聞出版)も出版し、パンの研究所「パンラボ」を主宰している。
■パンをフライパンで焼くと絶品!
上柳:食パンのおいしい食べ方はありますか?
池田:時間がある時にやるんですが、フライパンで焼くとおいしいですよ。普通はオーブントースターで焼きますが、フライパンだと凄く火が通って表面がパリッとなりますよ。
上柳:ほう!
池田:トーストの外側はパリパリ、中はフワッ……っていうのがみなさん好きだと思いますが、僕は、外側はパリパリ、中はトロッ……っていうのがいいなと思っていて。
上柳:中はトロッ?
池田:はい。水分を入れて蓋をするので中がトロッとなるんですよ。必要なものは「フライパン」「蓋」「水」。
・フライパンに食パンを置く。
・水10ccくらいをパンに当たらないように周りにまく。
・中火にして蓋をする。
・焼き時間はお好みで。おいしいにおい、香ばしくなってきたらパンをひっくり返す。
・ひっくり返したらフライパンの蓋は使わずに焼く。
・パンの上にバターを置いてもOK。
・反対側も焼けたら完成!
上柳:おいしそう! 考えただけで、何でこんな幸せな気持ちになるんでしょうね(笑)
池田:コーヒーも、コーヒーメーカーに任せないで、自分でハンドドリップするとまた良かったりするじゃないですか? そんな感覚で自分の理想の焼き色を探すみたいな。ゆっくりした時間を楽しむ感じでやるといいかなと。
■食パンを超厚切り“3枚切り”で食べる
池田:最近のマイブームは「3枚切り」です。普通は厚切りでも5枚切りですが、それよりさらに厚い3枚切りを。
上柳:かなりぶ厚いですね。
池田:自分一人で食べると多過ぎるのですが、2人でとか家族とかでシェアすると、6枚切りと同じ分量になってちょうどいいんですよ。厚切りで食べると、凄くもちっとしてリッチな感じなんですよ。心が豊かになるというか。
上柳:焼き方は?
池田:普通にオーブントースターで焼いておいしいですよ。
■フランスパンはやっぱり焼きたてを食べる
上柳:フランスパンで「バゲット」がありますが、あれはフランス語ですか?
池田:バゲットはフランス語で、「棒」という意味なんです。
上柳:そのまんま、なんですね(笑)
池田:フランスパンって結構そういうのが多くて、例えば「タバチェ」というパンは“煙草入れ”の形だったり。あと「シャンピニオン」というキノコの形をしたパンも「キノコ」という名前です。
上柳:割とストレートな、見たまんまということなんですね。
池田:そうなんですよ。
上柳:バゲットやフランスパンはなぜあんなに硬いんですかね? 長く持たせるとか?
池田:いえ、バゲットは一番持たない(日持ちしない)んですよ。だから焼きたてを食べるものです。日本の蕎麦みたいなものですね。蕎麦も茹でたてを食べろ、って言いますよね。だからフランスでバゲットを買うと、小さい紙でくるっと巻いてパッと渡されて。で、店を出た途端にガブッと食べている方がいるんですよ。
上柳:そうなんですか!
池田:焼き立てが一番おいしいものなので、パン屋さんを出た瞬間に食べるっていうのが一番おいしい食べ方なのかもしれないですね。
■「こうじ」を使った日本のパン
上柳:なめらかなパンといえば、やっぱり日本でしょうか?
池田:そうですね。
上柳:そのなめらかなパンを好む日本人に人気なのが木村屋のパンだと思いますが、中にあんこを入れて、塩漬けした桜の花びらをちょいと入れるという、あれ、すごいなと思うんです。
池田:発明ですよね。でも当時は全く売れなかったらしいです。
上柳:そうなんですか?
池田:「パン」というものが売れなかったそうで。「なんじゃこりゃ?」状態でみんな見ていたので。初めは普通のイギリスパンを作って、全く売れなくて。
上柳:パン自体が受け入れてもらえなかったと。
池田:「あんこを入れて饅頭みたいにしたら売れるんじゃないか?」と言って、それが始まりだったようです。で、その作り方が昔と全然変わってないんですよ。
上柳:そうなんですか?
池田:あれは「こうじ」でずっと作っているんですが、それが世界の発酵博物館に収蔵されるぐらい、日本ならではのものなんですよ。こうじでパンを作る文化って世界になくて。だからあのあんぱんって、ほんのり日本酒とか甘酒みたいな香りがしますよね。それが、あんことマリアージュしたわけです。
上柳:日本人の底の方にある“こうじ好き”を刺激するんですかね。
■最近見つけたおいしいパン屋さん 東京・自由が丘「C'EST UNE BONNE IDEE」(セテュヌボンニデー)
上柳:関東でおすすめのパン屋さんを教えていただけませんか?
池田:最近、2021年12月にオープンした東京・自由が丘のセテュヌボンニデーというお店がありまして。
上柳:洒落た名前ですねぇ。どういう意味なのでしょう?
池田:「それはいいアイデアだね!」という、フランスで使う慣用句です。その名前通りにいいアイデアのおいしいパンばかりで。
上柳:例えばどんなところが?
池田:ここは国産小麦で作っているんです。「自由が丘食パン」というのがあって、これがブレイクするんじゃないかと僕は思っています。
上柳:自由が丘近辺にお住いの方が、優雅な朝食で食べていらっしゃいそうですね。
池田:この食パンですが、トーストしていただくと外側はパリッとなって、中は舌の上に置いたら勝手にとろけるような柔らかさで。
上柳:ええっ!
池田:国産小麦を使っているのも特徴ですが、甘さがあって、うま味があって。バターを塗るとバターだけの甘さや味だけでなく、そこにうま味が乗ってそれが口の中にとろけて、たまらない感じになるんです。
■国産の小麦
上柳:池田さんは国産の小麦へのこだわりがありますよね? それは、どういうところからなんですか?
池田:純粋においしいということと、僕が感動したのは、米のように小麦にも「キタノカオリ」とか「ゆめちから」とかいろいろな品種があって。それぞれの味があるんです。自然ってすごいなぁ、と思って。
上柳:それぞれの品種でパンを作ると、やっぱりそういう味になっていくわけですか? 全然違う表情を見せる?
池田:そうです。北海道は北海道、九州は九州とか。その小麦のキャラクターを生かしてパン屋さんがパンにしてくれるんですよね。
パンや小麦への想いを時間の限り語った池田さん。日本のパンについて「日本のパンは一個一個芸術品のように、工芸品のように凄くきれいに中に包んだり、乗せたりして作っていくので、やっぱり職人技だなと。パンは数百円で買える一点もののアート」と語り、日本人ならではの職人文化をパンから感じるという。店に並ぶおいしそうなパンを見るだけで、池田さんはウルッと感動するそうだが、たくさんの修練を積み、まだ日がのぼってないであろう早朝に起き、何十種類、何百個もの美しいパンを丁寧に作る職人の姿を思うと、よりおいしく感じるかもしれない。
パンライターの池田浩明さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報
「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/