元ソフトボール日本代表のエースピッチャー・髙山樹里さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)に出演。オリンピック3大会に出場した髙山さんが、世界の舞台で見たさまざまなアスリート達の食事情、食べることの大切さを語った。
髙山樹里さんは数々の国際大会で活躍し、五輪ではアトランタ(4位)、シドニー(銀)、アテネ(銅)と3大会出場を果たす。現在は車椅子ソフトボールの普及、各地でソフトボール教室を行う他、1,000名を超える女性オリンピアン有志で構成されるトータル・オリンピック・レディース会(TOL)の会長を務めている。2021年8月には、著書『オリンピック選手直伝! 競技で結果を出す食事術』(産業編集センター)を出版し、さまざまな競技のオリンピアンの証言や、結果を出すために何を選び、どう食べるか、をまとめて紹介している。
アーティスティックスイミング選手の驚きの食事
上柳:オリンピックの選手村、食事の時にはいろんな競技の選手と一緒になることがあると思いますが、ソフトボールの人達とは全然違う感じで食事を取っているな、と思った競技の方はいらっしゃいましたか?
髙山:選手村ではなかったんですが、アーティスティックスイミングの方ですね。
上柳:あの競技は水の中で泳ぎ続けて、浮かんでいるだけでも大変そうですよね。
髙山:本当に凄く厳しかったみたいで、みなさん泣きながら食べていたんです。自分達、ソフトボールの人達は緑や黄色、野菜とか主食も多かったりするんですけれど、アーティスティックの方の食事には緑が無かったです。カロリーが高いものを食べて体重を維持なのか、いっぱい量が食べられないから少ない量でエネルギーを取ろうということなのか、そこはちょっと分からないんですが、泣きながら食べていて。
上柳:そうなんですね。
髙山:100グラムでも体重が落ちたらダメだから食べなきゃいけない、って食べているのを見た時に『ソフトボールは、おいしくいただけているな』と思って。あれはやっぱり競技性だなと。
上柳:そうですよね。プールの中で体を浮かせないとパフォーマンスできないですからね。体重が減ると、足の上がり方が変わったりとかするんでしょうかね。
髙山:「100グラムでも違ったら足の上がりが違うから!!」って井村監督が怒っていたのを聞いて、『そうなんだ……』と思いながら、隣で食べていたのを思い出しました。
上柳:厳しそうですね。
強い選手は食事も豪快
髙山:選手村では、アメリカのソフトボール選手の食生活はすごいなと思いましたね。
上柳:アメリカの選手のみなさんはみんな体が大きいですしね。
髙山:そうですね。
上柳:選手村ではマクドナルドも出るそうで、やはりアメリカの方は好きみたいですね。
髙山:試合が始まってすぐは、みなさん召し上がらないんですが、日が経つにつれて、マクドナルドに行列ができるので、みなさん好きなんだなと思いましたね。それを見て、オリンピックが進んでいるんだな、というのを感じられます。
上柳:なるほど、だんだん自分が好きなものを食べられるようになって、リラックスもするんでしょうかね。
髙山:食事って仕事のように食べなければいけない部分もあるんですけど、コミュニケーションや、リラックスする場でもあるので。たまにはそういうのも必要なのかな、とは思います。
上柳:体の大きなアメリカの選手と決勝で当たることもありましたが、何か印象的だったことはありましたか?
髙山:一番びっくりしたのは、クリストル・ブストス選手がマクドナルドのハンバーガーを3つぐらい持ってきて、ブワーッと食べて颯爽と帰って行ったのを見て『あぁ、やっぱり違うんだ』と。この人のエネルギーはこれなんだ、っていうのは感じましたね。パワーは、このハンバーガー3つなんだなって。
上柳:そういったアメリカの選手のパワーを、試合ではどう受け止めていたんですか?
髙山:でも、人間対人間ですからね。
上柳:なるほど。国際試合も結構あるからそんなには、ということなんですかね。
オリンピックは「めちゃめちゃ楽しかった」
髙山:そうですね、オリンピックも開会式が終わったら世界大会、という考えなので。オリンピックは発表の舞台だから、私は凄く楽しかったです。
上柳:ああ、いいですねぇ!
髙山:めちゃめちゃ楽しかったです。
上柳:髙山さんは海外でいろんな試合をしてきて、現地で体調を崩すということは無かったんですか?
髙山:全然無いです。
上柳:でも、周りには体調を崩す方もいらっしゃったでしょう?
髙山:お腹を壊して大変な方もいましたね。あと、食事を取れない人も多かったです。日本と変わって全然違うものになると取れなくなる人もいて、どんどんと衰弱していくというか。パフォーマンスも全然違いましたね。その点、ベテランの方達はよく食べるので。普通に成果をどんどん残していました。
上柳:やっぱり経験値の違いなのでしょうね。
食事の量が足りず、翌日に疲れが残ることがあった
上柳:集中力は試合でも一番必要なものだと思いますが、朝起きて、アスリートではない僕らでも『今日は体が重いな』とか『今日は体が軽い』とか。ジョギングをしてちょっと走っただけでも、そういうのを感じますが、アスリートの方もそういうのがあるものなんですか?
髙山:もちろんあります。
上柳:調子がいい状態に毎回したいじゃないですか? その為の何か工夫は?
髙山:前日の疲労が残っているから次の日がしんどいので。やっぱりちゃんとした食事だと思うんです。食べなかったりすると、疲れが残ってよくないんだなと気付いたから、食事をしっかり取ろうという事を始めたんですよね。トレーニングで死ぬ思い、『うわぁ、しんどい……』という思いをしないと、そこまでならないので。少々のことではあんまり感じなかったかもしれないです。
上柳:オリンピックに3回も出ているくらいですから、精神力もね。
髙山:食べていない時は疲れがてき面に残りました。なので、少なくても食べた方がいいと私は思いますね。
激しい運動の後は食欲がなかったり、年を取ると食べることが面倒くさく思ったり、食事の量も少なくなるかもしれないが、やはり、今日食べたものが明日の身体を作る。なんだか調子が悪いな、と感じた人は食事の量を見直してみるといいかもしれない。
元ソフトボール日本代表の髙山樹里さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報
「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/