辛坊治郎「根本的な解決にはならない2つの大きな問題」 元徴用工訴訟問題に新基金設立案

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キャスターの辛坊治郎が6月30日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。いわゆる元徴用工訴訟問題で賠償を肩代わりする新基金の設立案を韓国政府が検討していることについて、持論を展開した。

韓国南西部・光州で記者会見する元徴用工訴訟の原告側関係者 2022年6月30日 写真提供:時事通信社

韓国の最高裁が日本企業に賠償を命じた、いわゆる元徴用工訴訟問題で賠償を肩代わりする新基金の設立案を韓国政府が検討していると、複数の韓国メディアが29日、報じた。日本と韓国の企業や国民による募金約300億ウォン(約31億円)を賠償金に充てる基金で、日本政府や敗訴した日本企業は参加しない方向だとしている。この報道について、磯崎仁彦官房副長官は30日の会見で、「韓国国内の動きにコメントすることは差し控える」と述べた。

辛坊)今回の解決案というのは、既に何回か浮上したことがある話の延長線上にあるのであって、急に出てきたわけではありません。第二次大戦中に日本に働きに来ていた人の中で、強制連行という形は全くなかったわけではないのですが、大半の人は募集に応じて働きに来ていた人です。ところが、いろいろな形が一緒くたにされています。日本政府も、「全く責任がない」と言っているわけではありません。1965年に日本と韓国が国交正常化する際に、そうした問題があったので一括して賠償金を払うことになったわけです。

当時、支払った賠償額は、無償3億ドルと有償2億ドルの計5億ドルです。現在のレートに換算すると、5億ドルは650億円くらいですね。当時は1ドルが360円の時代でしたし、ドルの価値も今とは全く違って、韓国の当時の国家予算の何倍にも相当する、すごい金額の賠償金です。

一方、元徴用工の人たちから個々に賠償請求された場合、どう対応するかが当時、問題になりました。この問題については、賠償金は韓国政府に支払い、個々の訴えが起きた際には韓国の国内問題として処理するということで、1965年の日韓請求権協定を結んだわけです。にもかかわらず、この問題が続いているんです。

2018年11月29日、ソウルの韓国最高裁に向かう三菱重工業への賠償を求めた韓国人女性ら=写真提供:時事通信

この訴訟自体、おかしな話です。それは韓国政府もさすがに分かっていました。賠償を命じる判決が確定したら、日韓関係が無茶苦茶になると分かっていたので、朴槿恵(パク・クネ)政権は最高裁に判決を出さないよう、ある意味の圧力をかけました。ところが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権は朴政権の方針をひっくり返し、最高裁の判事の顔ぶれを替えてまで判決を出してしまいました。日本政府としては日韓請求権協定で完全に解決しているという認識ですから、「ふざけるな!」と憤慨することになったわけです。

一方、韓国の国内世論、国内政治としては、落としどころを見つけないと、にっちもさっちもいきません。そこで編み出されたのが、訴えを起こしている元徴用工に関しては賠償金を支払うための基金設立案です。ただし、賠償金を韓国政府が出すのでは韓国国民が納得しません。そこで、基金をつくることを考え出したわけです。しかし、日本企業はそんな基金に入るわけがありません。そもそも日本側は日韓請求権協定で終わっているという認識ですからね。韓国側は基金で円満解決しようとしていますが、問題が浮上しています。

1つは、訴えを起こしている人たちが、そもそも納得するのかという問題です。いわゆる従軍慰安婦訴訟も同じ構図です。こうした訴えを起こしている人たちは、訴えを起こし続けることに政治的な意味を持たせたいわけで、本音では「解決したら困る」と思っている人もいるでしょう。だとすると、解決する気が本当にあるのかという話になりますよ。もう1つは、日本側は「1965年に解決済み」という認識ですから、「何で、また蒸し返すわけ?」となります。根本的な解決にはならないという2つの大きな問題があるんですよ。

番組情報

辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!

月~木曜日 15時30分~17時30分 

番組HP

辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)

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