差別や偏見があった1980年代のエイズ 感染者が出ると事件として扱われることも

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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)治療科長の菊池嘉氏が6月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。エイズについて解説した。

差別や偏見があった1980年代のエイズ 感染者が出ると事件として扱われることも

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

恐れられていた1980年代のエイズ

飯田浩司アナウンサー)エイズという病気は80年代ぐらいから世の中に知られ始めたと思っているのですが、その理解で合っていますか?

菊池)合っています。この病気にエイズという名前が付いたのも1980年代ですが、そのときは恐れられていた病気でした。

飯田)当時は大変な差別があったようですね。

菊池)短時間では語りつくせないほどの偏見や差別がありました。日本のなかでHIV感染者が実名で公表されたり、感染して病気になっているのに、「〇〇(地名)エイズ事件」と、事件として扱われた記事もありました。

2020年はHIV感染者数、新規エイズ発症者数がともに減少も、コロナ禍で検査数が減少した可能性も

飯田)現在、世界のエイズ患者さんの状況はどうなっているのでしょうか?

菊池)全世界で毎年150万人ぐらいの感染者がいて、大体4000万人ぐらいの方が病気と闘っていると言われています。日本でも実名ではなく発生件数として報告されていますが、エイズを発症した人と、エイズではないけれどHIVに感染した人の件数が毎年「エイズ動向委員会」というところから発表されています。

飯田)エイズ動向委員会から。

菊地)2020年の値が確定していて、新規のHIV感染者が750件、新規のエイズ発症者が345件で、合計1095件でした。2013年が最も報告数が多かったのですが、そのときはHIV感染者が1100件、エイズ発症者が約480件で、合計1590件でした。これまでの年間最大報告値です。ですから若干減っているようにも見えるのですが、コロナ禍になり、検査数が減ったために低く見積もられている可能性があると考えています。

飯田)潜在的な部分も含めると、いままでと同じくらい新規感染者の方がいらっしゃるし、医療に届いていないかも知れない。

菊池)急性期を過ぎると無症候になりますので、ご本人が感染していることを自覚せず、普通に生活できてしまいます。それを放っておくとエイズを発症してしまうのです。

差別や偏見があった1980年代のエイズ 感染者が出ると事件として扱われることも

菊池嘉氏、飯田浩司アナウンサー

1997年に新しい抗ウイルス薬が登場 ~3種類の薬を投与することで通常の生活ができるように

飯田)医療や薬の進歩も目覚ましいと思いますが、「価値観が変わった」というタイミングはいつごろでしょうか?

菊池)1997年に我々の施設ができたころ、新しい抗ウイルス薬が登場したのです。3種類の薬を中心に投与していくと、通常の生活ができるということがわかりかけた時期なのですね。

飯田)そこから現場は変わっていった。

菊池)そうなのです。私たちの役割には診療することと研究することがあるのですが、そのなかには情報発信もあります。その情報発信が足りていなかったのかなと改めて感じます。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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