HIV感染の段階で治療すればエイズは発症しない

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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)治療科長の菊池嘉氏が6月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。HIVとエイズの違いについて解説した。

HIV感染の段階で治療すればエイズは発症しない

※画像はイメージです

HIVとエイズの違い

飯田浩司アナウンサー)エイズとHIV感染症という2つの言葉があります。それぞれの意味、違いは何なのでしょうか?

菊池)HIVというのは、“Human Immunodeficiency Virus”、日本語にしますと「ヒト免疫不全ウイルス」というウイルスの名前なのです。これに感染すると、HIV感染症になったということです。

飯田)感染すると。

HIV感染者がニューモシスチス肺炎などの疾患を合併するとエイズ発症となる ~「エイズが発症しているかどうか」は検査しなければわからない

菊池)HIV感染が起きていて、ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)やカポジ肉腫、サイトメガロウイルス感染症、結核などを合併するとエイズを発症することになります。厚生労働省の診断基準では、23の疾患があるのですが、日和見感染など、特定のことが起きるとHIV感染からエイズ発症になると覚えていただきたいと思います。

飯田)HIVには感染しているけれども、何か具体的な不具合として出てこない状態の方もいるということですか?

菊池)「この症状が出たらHIV感染症だ」というものはないのです。わからないので、「検査をしましょう」ということになるわけです。長くこの病気に関わっていますが、「この人がHIVかどうかを診て言いなさい」と言われてもわからないのです。検査結果から診断するしかない病気です。

HIV感染のときに治療すればエイズを発症しない

飯田)抗ウイルス薬などを使うのは、HIV感染症の診断がついて、発症させないためのお薬なのですか?

菊池)HIV感染のときに見つかった人はラッキーで、そのときに治療すればエイズは発症せず、ずっと元気でいられるのです。「年に4回でいいです」という道に乗れる。ですから、早く検査をして欲しいですね。

HIV感染の段階で治療すればエイズは発症しない

菊池嘉氏、飯田浩司アナウンサー

HIV感染はほとんどが性交渉から

飯田)感染経路なのですが、かつては「蚊に刺されても感染する」などという間違った情報もありました。

菊池)HIV感染症はいわゆる性感染症に入りますので、性交渉から感染します。その他、日本ではかなり少ないのですが、血液媒介感染でもあるため、輸血や血液製剤でうつることもあります。また母子感染が大きな感染ルートになっています。

飯田)母子感染が。

菊池)ただし、日本においては、ほぼ「性交渉をしなければうつらない」と考えていただいていいと思います。あと、血液が混じるようなものにはウイルスが存在する可能性がありますが、唾液や涙、汗のなかにはウイルスは含まれません。

電車の吊り革やプールなどで感染することはない

飯田)食べものや吊り革、手すり、お風呂、プール、トイレの便座などから感染することはないのですね。

菊池)そこからはHIVに感染しません、できません。

飯田)できない。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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