エイズは未だに「死に至る」怖い病気なのか?
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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)治療科長の菊池嘉氏が6月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」、またエイズの治療法について解説した。
新興感染症も扱う「国立国際医療研究センター」
飯田浩司アナウンサー)HIV感染症治療において国内のトップ機関であるのが、先生がいらっしゃる国立国際医療研究センターの「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」というところです。ACCも含めて、国立国際医療研究センターの診療科はいろいろあるのですか?
菊池)かなりたくさんありまして、43科あります。
飯田)43科もあるのですか?
菊池)標榜科として登録しているのは43科です。私が診ているHIVも得意な範疇ですし、コロナ感染症も含めて国際疾病センターもありますので、新興感染症にも対応できる準備が整っています。
HIV感染症専門の「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」
飯田)「国際」という名前が付いているくらいですから、日本の方だけではなく、他国籍の方も受診されるのですか?
菊池)10%くらいが外国の方です。
飯田)先生のご専門は感染症ということでいいのでしょうか?
菊池)感染症の専門医なのですけれども、そのなかでもHIV感染が専門です。
飯田)エイズ治療・研究開発センター(ACC)は、まさに主戦場なのですね。
菊池)そうです。
飯田)いままでどれくらいの患者さんと接してこられたのですか?
菊池)私自身はそれほど多くありませんが、科全体としては5100名以上の患者さんが登録されていて、3ヵ月に1回ほど来られます。常時1200~1300名の方が通院していらっしゃいます。
「薬害エイズ訴訟」がきっかけで誕生した「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」
飯田)HIVがご専門ということですが、「エイズ治療・研究開発センター(ACC)」の歴史は長いのでしょうか?
菊池)1980年代に「薬害エイズ訴訟」という、HIVウイルスに汚染された血液製剤を投与されて、HIVに感染してしまった方たちの訴訟がありました。それが1996年3月29日に和解を迎えるのですが、その和解条項のなかに「恒久的にサポートする」という条項があり、1997年4月1日に私たちの施設ができました。
飯田)なるほど。
菊池)当時の厚生省がそういうことを認めたために、全国から当時の専門家たちが集められたのです。
飯田)当時、それぞれの病院や研究機関で働いていらっしゃった方々が、そのタイミングで集められたということですか?
菊池)そのときに異動してきて組織ができています。
飯田)そこからもう25年ですか。
「HIV感染症」は未だに怖い病気なのか
飯田)その間、HIV感染症への対処方法は当然、日進月歩で続いてきたわけですよね。
菊池)かなりよくなりました。当初は薬がお茶碗に盛るくらいありましたが、いまは1日1回1錠飲んでいればいいのです。
飯田)1996~1997年というと、私は中学から高校にあがるくらいのタイミングでした。あの当時、教科書にも載るなどして、HIV感染症について知られてきた時期ではあったのですが、逆に言うと、当時の知識で止まっている人がかなりいるかも知れません。80年代くらいの知識のまま、「恐ろしい病だ」と思っている人がたくさんいるのではないでしょうか。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます