立憲民主党・泉健太代表「台湾への武力侵攻は絶対にあってはならないというメッセージを強く持つ」

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立憲民主党の泉健太代表が7月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。参院選における立憲民主党の公約について語った。

立憲民主党・泉健太代表「台湾への武力侵攻は絶対にあってはならないというメッセージを強く持つ」

台湾の台北郊外で行われた、有事の際に動員される「予備役」の射撃訓練=2022年3月14日 写真提供:産経新聞社

立憲民主党・泉健太代表に訊く参院選の公約

6月22日に公示された参議院選挙は、7月10日に投開票を迎える。同番組では、選挙期間中各党の代表や党首、幹部に党の公約や参院選の戦い方などを訊く。今回は立憲民主党の泉健太代表。

飯田)文字通り全国を飛び回っていらっしゃいますが、ここまできて手応えはいかがですか?

泉)昨年(2021年)の総選挙以降、厳しい状況からのスタートでしたが、そういった意味では、各地で健闘していると思います。徐々に立て直しの過程に入ってきているなと、そんな実感をしています。

立憲民主党が「物価高と戦う」と掲げたために物価高が争点になった ~論戦を主導

飯田)衆院選のあとに代表に就任され、政策も含め愚直に訴えていくのだと、当時もインタビューでお聞きしましたけれども、聞いていらっしゃる方の反応の変化はいかがですか?

泉)今回は論点設定、争点設定ができたことが大きいと思います。立憲民主党が「物価高と戦う」と言っていなければ、これだけ物価高が争点にならなかったと思います。国民の皆さまの生活実感に合わせた参議院選挙の論戦を、我々が主導することはできてきているかなと思います。

小麦の価格を引き下げる、年金の追加給付、消費税の引き下げ

飯田)物価高対策について、具体的にはどのようなことをやろうとしていますか?

泉)当初はウクライナ情勢による物価高だと言われていたのですが、円安による物価高のウェイトが高くなってきています。それに対して岸田総理が年金生活者への対策をしていない、また食料品への対策を事実上、ほとんど何もしていません。立憲民主党からすれば、小麦の価格は政府が決めているので、これを引き下げるべきだということや、年金の追加給付、そして最も大きいのは消費税の引き下げをするべきだと考えています。経済政策として重要な局面に入っていると思います。

ウクライナ戦争にみる新しい技術の必要性 ~落ち着いた安全保障政策を進めるべき

泉)安全保障にも責任を持つ政党として、理念的な平和ということに加え、現実的な安全保障の体制は整えなければいけないと思います。ウクライナ戦争を見ても、ドローンが使われ、ウクライナの通信設備が破壊されたあとにイーロン・マスク氏が衛星通信を提供したように、新しい技術へのウェイトも高まっています。そういうものもふまえて、自衛隊の装備品の更新をしていかなければいけないと思います。

飯田)自衛隊の装備品の更新を。

泉)一方で、原子力潜水艦や核共有というのは、現場の自衛隊も求めていないし、日本の安全保障の専門家たちからも「これは違うのではないか」という声があがっています。我々は「落ち着いた安全保障政策、防衛政策」を進めていきたいと思っています。

力による現状変更にどう対処するか ~対話という窓口は開け続けなければいけない

泉)戦争を対話だけで止められるかと言われれば、それは不可能かも知れません。しかし、対話なくして止まることもないと思うのです。いま西側各国が力を合わせてロシアに対する制裁を続けているということは、長期的には戦争が終わっていく過程の1つだと思います。

飯田)制裁を続けることで。

泉)日本はいま、中国やロシアと対話ができていませんが、一方でアメリカは当然、ウクライナ側についていて、ロシアや中国の国防大臣などと対話をしています。どんな状況においても、対話という窓口は開け続けておかなければいけないのです。

反撃能力について ~対話外交によって戦端が開かないようにする

泉)反撃能力と言っても、(中国の中距離弾道ミサイルが)千数百発くらいあるなかで、「反撃しきれるのか」と言うと、難しいわけです。現実的には相手のすべての基地を叩くという話になるのかどうか。迎撃するよりも簡単だからといって、敵基地を攻撃するとなると、本当に一触即発の状況になります。

飯田)敵基地を攻撃すると。

泉)ですから、それ以外の道も探らなければならないと思います。それはやはり対話外交、もしくは軍縮外交ではないでしょうか。そして、多国間によって相手の攻撃を防ぐ。相手が動かないような環境をつくることが大事なのではないかと思います。一旦、戦端が開いてしまうと、ただならぬ状況になってしまいますので、いかにそうさせないかが政治の役割だと思います。

台湾有事における2つのポイント

泉)台湾有事についてですが、いわゆる防衛当局には当局の戦い方があるとすれば、政治家には政治家の戦い方があるわけです。これが外交なのです。「戦争は外交の失敗だ」と言われます。台湾有事を起こさないために、アメリカの政治家も日本の政治家もいま、最大限の努力をしているなかにあります。

飯田)台湾有事を起こさないために。

泉)もし、台湾有事で武力行使ということになれば、最悪のシナリオになりますので、そこに至らないような枠組みをどうつくるか。これがまず1つです。

飯田)最悪のシナリオに至らないために。

泉)2つ目に、仮に最悪のシナリオになった場合、アメリカが台湾にできることと、日本が台湾にできることは当然違います。日本は、アメリカとの日米安全保障条約を間に介した形で、どのように対処するか。あるいは、日本が直接攻撃を受けるようなことがあれば、これは当然、日本の個別的自衛権で対応するということになりますので、その線引きを明確にしていくことだと思います。

「台湾への武力侵攻は絶対にあってはならない」というメッセージを強く持つ

泉)そもそも我々は台湾周辺に対して、(中国の)一方的な現状変更は許さない。これは日米のスタンスがそろっています。それに加え、クアッドやASEANなど、全体で「台湾への武力侵攻が起こるようなことは絶対にあってはならない」というメッセージを強く持ち、その環境をつくらせないということです。

飯田)強いメッセージを。

泉)武力で侵攻してくるという事態になれば、中国に対する世界的な反発は大きくなるのですが、台湾のなかの体制を変更させるような事態になれば、アメリカも日本も手を出しにくい事態になるわけです。そうなると非常に難しい。さまざまなシナリオが想定されるようになるでしょうね。

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