「マスクはパンツと同じ」マスクを外したがらない子どもたち
公開: 更新:
東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。子どもとマスクについて解説した。
「マスクを外してもいい」と言っても多くの子どもが外したがらない ~マスクはパンツと同じ
飯田浩司アナウンサー)小学生の間で、マスクに関して大きな問題が起こっているということですが、どのようなことなのでしょうか?
川上)5月に国の方からも「屋外ではマスクを外して熱中症対策をしましょう」という通知が出ましたが、学校の先生が「外していい」と言っても、外したがらない子が多々見られています。
飯田)コロナ禍になり、みんながマスクを付け始めるようになってから、もう3年目に突入します。意識の変化の部分なのでしょうか?
川上)子どもたちに言わせると、マスクはパンツに相当するそうです。パンツを脱いで街を歩くことは絶対にできないのと同じで、マスクを外してお友だちと遊ぶことができない。恥ずかしいことだという認識があるようです。
素顔をどのように思われるかが怖い
飯田)マスクを外さないと、逆に表情などもわかりづらくなりますよね?
川上)小さい子たちは、マスクを外してお友だちと会話するという経験が少ないのです。もう2年以上マスク着用の生活をしていて、そのような経験がないため「怖い」と感じるようです。自分の素顔を出したとき、お友だちにどう思われるのだろうという心配がある。自分も当然、相手のお友だちの顔に対して興味を持っているのですが、その気持ちを裏返せば、「自分がどのように思われるのだろうか」ということが怖いようです。
飯田)マスクを外して話す経験がない。
川上)2009年に新型インフルエンザが流行したときも、実は同じことが起きていました。あのときも、いまほど多くはありませんでしたが、マスクを外せない子がいました。マスクを外すまで2年くらいかかったお子さんもいました。
飯田)周りが外さなかったら自分も外さないでいよう、という意識もあるのでしょうか?
川上)特に今回は、先生方が教壇に立ってお話をされるので、先生は教室では外せない状況ですよね。そのため、先生がみんなに「マスクを外そう」と言っても、真意が伝わりにくい。子どもたちにとって見れば、「でも先生はしているではないか」というような状況で、とても困っているということを言われました。熱中症の話も出てきましたが、屋外でもマスクをしています。
自然に触れる体験などからマスクを外す
飯田)屋外だから外していいよ、ということにはならないのですね。解決方法としてはどのようなことが考えられますか?
川上)「屋外では熱中症の危険もあるから外しましょう」というところから丁寧に始めて、屋内でも外して大丈夫なシーンでは外し、空気を吸った感覚の違いを感じさせるしかないでしょうね。
飯田)マスクを外して散歩したりすると、「空気はこんなに美味しかったのだな」など、いろいろなことに気付きますよね。自然に触れる体験のようなことが必要になってくるのかも知れませんね。
川上)そうですね。
この夏は、子どもたちに「お互いの顔を見て、楽しい経験」を積ませよう
飯田)生活様式の変化は、大人が考える以上に、子どもに与える影響が大きかったのですね。
川上)子どもたちにとっては、そこまでマスクを外して話すことの楽しさは伝わっていないようです。屋外でマスクを外し、お互いの顔を見て、楽しい経験をこの夏は積ませてあげたいと思います。
飯田)屋外遊びのときなどに、「マスクを外すと楽しいぞ」という原体験さえあればいいですよね。外で遊ぶときはマスクを外そうということを、親の方から言ってあげる。あるいは周りの大人が言ってあげて、徐々に促していくというところですか?
川上)そうですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます