我が子がこんな行動を取る場合は「摂食障害」を疑う
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東京都医師会副会長で精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が7月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。摂食障害に気付くきっかけについて解説した。
こんな行動を取る場合は摂食障害を疑う
飯田浩司アナウンサー)摂食障害のサインや、周りのサポートについて伺います。摂食障害に気付くきっかけはあるのでしょうか?
平川)基本的には食べないのですから、周りの人は驚きます。家族団らんで食事しても、圧倒的に本人の食べる量が減っていくわけです。自分のお皿を弟やお父さんなどに譲ってしまって、「では一体あなたは何を食べるの?」といった感じで、その様子も周りから怪訝に思われます。
飯田)そうですよね。
平川)急激に痩せていきますし、1日に何回も体重計に乗ってチェックする。気になってそのことを注意すると「私は痩せていない、太っている」と感情的になって言い返すことが多い。
飯田)太っていると。
平川)食べる量も極端に炭水化物を減らしたり、揚げ物や肉、お菓子を食べるのをやめて、低カロリーの食品ばかり食べるようになる。とにかく献立に細かく口を出すのです。
飯田)献立に口を出す。
平川)一方で面白いのが、料理を自分でつくるのが好きな方に多いのです。人にはこってり系のものをお出しして、「食べて」というようなことを言う。食事をつくるのですけれど、自分は食べられない。食べないから不思議だなと家族が思うのです。
炎天下に何キロも走るなど、活動性が高まる場合も
飯田)やはりいろいろな行動に出てきますか?
平川)不思議なのは、活発に動くようになるのです。私の患者さんでも、体重が40キロあるかないかくらいの見るからに細い体格の方がいらっしゃいますが、炎天下に何キロも走ります。活動性が高まるのです。
飯田)その他に特徴的な行動はありますか?
平川)食べては指を突っ込んで吐く。家族も困ってしまうほど、トイレで30分も1時間も吐き続ける。あるいは下剤を大量に服用することもあります。
親はサポーターに徹する ~治療者や教育者にはならない
飯田)家族や周りはどのようなサポートができますか?
平川)食べない場合は、みるみるうちに痩せていきますから、親御さんは心配されます。ですから、どうしても食べることが会話の中心になってしまう。
新行市佳アナウンサー)「もっと食べなさい」などと。
平川)追い詰めて問い続けるわけです。そうなると、結果的に自分の気持ちを家族もわかってくれないということで、「見捨てられた」という気持ちが生まれてしまいます。「なぜそういう行動を取るのか」という本人の気持ちに寄り添うことが大事です。
飯田)なるほど。
平川)大事なことは、とにかく「心配しているのだよ」ということを発信し続けることだと思います。治療するのは医療関係者や専門家なのです。親御さんは本人にとって、唯一無二のサポーターです。その方が指導者や治療者、教育者になってしまっては困るのですね。
飯田)親は。
平川)周りからどう言われようと、「この子はこの子だ」という強い愛情を持っているのが親ですから、その部分がいちばん大事です。どうしても目に見えることが気になってしまって、何とかしようとするのですけれども、そこは「グッ」と抑え込む。親として子どもに寄り添い、できることをしてあげたらいいと思います。
友達には深刻にならずに、さりげなくサポートしてもらう
飯田)友達がサポートする場合はどうですか?
平川)特に思春期は友達の影響が大きいので、友達と親御さんが話し合うことが必要です。「さりげなくサポートして欲しい」ということを打ち明けておくのもいいのではないでしょうか。
飯田)そのときも指導するのではなく、見守る。
平川)友人としての言葉ですね。気軽に、深刻にならずに、淡々と言ってもらうことが大事だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます