認知症の親を「介護のプロに任せる」勇気も必要

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が8月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。認知症の母との関係性について解説した。

認知症の親を「介護のプロに任せる」勇気も必要

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

認知症の母との生活

飯田浩司アナウンサー)森田さんがお母さまとのことをお書きになった最新刊『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社刊)から、認知症について伺います。最初の異変から7年経過したものの、何とか認知症の検査を受けて治療につなげていったということでした。治療を受けると行政の支援などもあるのですか?

デイサービスに通う ~介護のプロに任せるということ

森田)治療を開始すると同時に、母の介護申請をしました。区役所に電話して地域包括支援センターを紹介してもらい、介護認定をもらいました。それからデイサービスに通わせました。

新行市佳アナウンサー)デイサービスに対するお母さまの反応はいかがでしたか?

森田)なかなかハードルが高かったです。介護サービス、デイサービスに行くと体操やアクティビティなどを行うのですが、母は「こんなところには行かない」と。当時、母が言っていたのは「チーチーパッパなんかやりたくない」ということでした。

飯田)お遊戯のようなことはやりたくない、子ども扱いするなと。

森田)しかし、だんだん介護職のスタッフさんたちと上手にレクリエーションできるように気持ちが向いていき、やがてデイサービスも嫌がらなくなってきました。昼間の活動量が家にいるときとまったく違いますから、デイサービスから帰ってきた日は夕方にうたた寝していたりして、充実していたのだなと思いました。

飯田)ご家族の方も、送り出すときに後ろめたい気持ちがあり、「家族で頑張らなければ」と思う方もいらっしゃいます。プロにまかせるというのは……。

森田)なかなか自分たちではモチベーションを高めることは難しいです。介護のプロたちは「どうやったら母がデイサービスで楽しくチーチーパッパができるか」ということをわかっているので、ノウハウを知っている方々に任せるということは重要なのだなと思いました。

認知症の親を「介護のプロに任せる」勇気も必要

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

病気を契機に介護施設に入所

飯田)その後、入院や施設に入るというプロセスがありました。23年間もあると、いろいろなことが起こったと思いますが。

森田)たまたま母が腎盂腎炎を患って、病院に入院することになったのです。家族で会議を開いて、その後のケアの限界も感じたので、それを契機に介護施設へ入所させることになりました。

新行)いまお母さまはどのように過ごしていらっしゃいますか?

森田)いまはコロナ禍でアクティビティが制限されていますが、絵手紙や書道、アニマルセラピーなどを楽しんでいます。コロナ禍になる前はカラオケ大会を楽しんでいました。「北国の春」を熱唱して30人くらいから大拍手をもらい、生き生きしていました。歌詞はまったく間違えていましたけれど。あんなに楽しそうな母は見たことがないですね。

飯田)カラオケを。

森田)私のこと以外は、ほとんど顔と名前が一致しないのですが、私が行くととても喜んでくれます。この前も会うやいなや「ここに泊まっていきなさいよ」と、泊まれるわけがないのにそんなことを言っていました。

飯田)息子の顔はわかる。

森田)最近の記憶はほとんどないのですけれど、人の生き方や若いころのことはしっかりと覚えていて、例えば私が疲れた顔をしていると「あなた、きょうは疲れているね。ちゃんと睡眠と栄養をとりなさい」と言われます。あるいは「仕事がうまくいかない」と言うと、「何を言っているの」と。「人間は努力すれば、全部願いがかなえられるはずだよ」と言ってくれます。いまでも、とにかくいろいろなことを教えてくれるお母さんだなと思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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