外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が8月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月27日からチェニジアで開催される「アフリカ開発会議(TICAD)」について解説した。
アフリカ開発会議(TICAD) ~1993年から始まった日本主催の会議
岸田総理大臣の特使として、8月27日から2日間、チュニジアで開かれる「アフリカ開発会議(TICAD)」に林外務大臣が出席する。林外務大臣は25日、チュニジアに向けて出発した。一方、岸田総理大臣は新型コロナウイルス感染のため、オンラインでの参加になった。開会式で、再生可能エネルギーの普及に向けた官民あげての投資や保健・医療、農業分野での人材育成などを表明する方針である。
飯田)TICADは少し前だと、横浜で開催しているようなイメージでしたが。
宮家)日本がアフリカ諸国との関係をさらに進展させるために開催してきた会議です。しかし、中国も「一帯一路」で相当、アフリカに浸透しています。「それに対抗する感じかな」と思う人もいるかも知れませんが、本当は違うのです。TICADの「T」は「TOKYO」ですから、日本が主催してアフリカの国々をお呼びする会議ですが、始まったのは1993年からです。
飯田)もう30年くらい経つのですね。
中国の「一帯一路」が始まり、さらに力を入れる
宮家)今回で首脳会議は8回目なのですが、当時を振り返ってみると、バブルが弾けた直後くらいですから、日本にもまだ余力があった。支援しながら、アフリカ諸国も国連での1票を持っている国々ですから、大事にしなくてはいけないということで取り組んでいたのでしょう。
飯田)日本としては。
宮家)そのあと、同じように中国もある程度豊かになって支援を強化し、最近では「一帯一路」の一環としてアフリカも支援しようということになった。日本も「それは大変だ」ということで、さらに真面目に対応しようとしている。そういう流れだと思います。
飯田)中国の「一帯一路」が出てきて。
アフリカの首脳と一同に会することができる貴重な機会
宮家)中国も一帯一路でアフリカ支援を始めたわけではありません。実は、私がエジプトで研修していたのは1979年からです。そのころから中国は、アフリカをかなり支援していました。
飯田)そうなのですか。
宮家)スーダンにはハルツームという街があるのだけれど、1980年当時あそこへ行ったとき、とても美味しい中華料理屋さんがあったのに驚きました。
飯田)中華料理店が。
宮家)「なぜ?」と思ったら、中国がスーダンを支援していました。暑い国だから、中国南部の村の関係者を根こそぎ連れていって、スーダン近郊に村をつくり、作物を植えて、組織的にスーダンへの支援を行っているわけです。
飯田)中国が。
宮家)中国製の野菜がスーダンで収穫できるようになると、余ったものを中国人が営む中華料理屋さんが使うのです。これがとても美味しい。そのくらい中国は、アフリカで真面目に支援していたのです。
飯田)なるほど。
宮家)TICADはその意味もあって、日本が真剣にやっているところです。幸いうまくいっているのですが、今回、岸田総理が行けなくなってしまったので、林さんに頑張っていただく。アフリカの首脳と一同に会する滅多にない機会ですから、一生懸命やっていただきたいと思います。
飯田)ここで直に会うのは大事なことなのですね。
宮家)大事なことです。アフリカは数が多いですから。中国も1対1では会ってませんし、いまがいいチャンスです。
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