台湾有事の際、真っ先に問われる「日本が何をするのか」

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慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人が9月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本時間9月15日にアメリカで予定されている浜田防衛大臣とオースティン米国防長官の会談について解説した。

台北市の総統府で記者会見する蔡英文総統=2020年1月15日(共同) 写真提供:共同通信社

浜田防衛大臣、オースティン米国防長官と初の対面会談へ

浜田防衛大臣はアメリカを訪れるため、9月13日に日本を出発した。オースティン国防長官と会談することになっていて、中国が台湾への圧力を強めるなか、台湾海峡の平和と安定に向け日米両国の緊密な連携を確認したい考えだ。

飯田)4日間の日程でアメリカを訪問します。現地14日、日本時間15日にオースティン国防長官と初めて対面で会談するとのことです。やはり台湾情勢などについて会談するのでしょうか?

鶴岡)まずは台湾情勢の話をすると思います。ウクライナを見てもわかるように、武力衝突が起きてしまったあとでは対応が難しいです。台湾に関しては、徹底的に武力衝突の状態に陥るのを防ぐ、抑止する。その調整が最初の課題になると思います。

台湾が武力衝突の状態に陥るのを抑止することが日米の喫緊の課題

飯田)「台湾海峡の平和と安定」という文言が、菅さんとバイデンさんの首脳会談以来、盛り込まれるようになっていますが、当然ながらということですか?

鶴岡)そうですね。特にペロシ下院議長の訪台以降、状況が厳しくなっていますので、喫緊の課題として優先順位が上がったということだと思います。同時に、日本は年末に向けて国家安全保障戦略など戦略3文書の改定を控えていますので、それに向けた擦り合わせと、日本での議論をアメリカにインプットするという思惑もあると思います。

「ウクライナも大事だが、中国はもっと大事だ」ということをあらゆるレベルでアメリカに伝える

飯田)アメリカとしてはウクライナ情勢もあり、いろいろなところにコミットしなければならないなかで、「東アジアにもきちんと目を向けて欲しい」ということもありますか?

鶴岡)そこがもう1つの日本側の大きなメッセージだと思います。もちろん、ウクライナ情勢は重要で日本も関与していますが、アメリカに対しては「ウクライナも大事だけれど中国はもっと大事だ」ということを、日本としてはしっかり伝える必要があります。これはあらゆるレベルでの話です。首相もそうですし、防衛大臣や外務大臣も含めて、あらゆるレベルで会うたびにリマインドすることだと思います。

台湾有事の際、「日本が何をするのか」を真っ先に問われる

飯田)台湾にペロシさんが訪問したあと、大規模な軍事演習がありました。米軍側も台湾海峡に駆逐艦を派遣するなどしていますが、こういう動きも含めて日米がやっておくべきことは何でしょうか?

鶴岡)アメリカが台湾海峡に船を派遣するなどいろいろありますが、「では日本は何をするのか」というところは、もう少し日本側として打ち出せるものが必要だと思います。

飯田)ハワイで「環太平洋合同演習(リムパック)」という大規模演習をずっと行っていますが、独自にやるべきことの打ち出しが必要になりますか?

鶴岡)何をするかは別として、対応をアメリカに丸投げするような姿勢に見られること自体が、日本にとってあまりよくないことだと思います。

飯田)当事国としての姿勢が必要だと。ウクライナ情勢を見ていても、「第一義的にはそこが動かないと」とアメリカも思っているということですか?

鶴岡)「台湾有事は日本の有事だ」ということが安倍元総理以降、政治の場では言われていますが、日本有事なのだとしたら、「日本が何をするのか」が真っ先に問われるはずです。もちろんアメリカと連携して行うわけですが、「これができる」ということを日本がアメリカに対しても中国に対しても示すことは、今後の国家安全保障戦略の改定を踏まえても、具体的な課題になると思います。

台湾有事の際、現行法制で対応できない部分をどのように整理するか ~必要なものには法改正の議論をする段階

飯田)仮に日本有事だとしたら、「何をすべきか」ということに関しても、「国民をどう保護し退避させるか」など、いろいろな論点が出てきます。手の内をすべて明かすわけにはいきませんが、確かに何の発信もないのは「あれ?」と思うところですよね。

鶴岡)悩ましいことはたくさんあると思います。大きなところでは、存立危機事態や重要影響事態など、いろいろな平和安全法制によって制度はつくられました。ただ、武器供与のような話になったとき、現行法制で対応できる部分とそうではない部分をどのように整理し、必要なものに関しては法改正をしていくのかという議論が、具体的に必要な段階なのだと思います。

政府として、現職の政府高官を含めて有事に備えたシミュレーション訓練を行うことが必要

飯田)夏休みに政治家の方々なども集まって、台湾有事を想定したシミュレーションが行われました。そこでも「漁民なのか偽装漁民なのかを判断するまでに時間がかかった」という話がありましたが。

鶴岡)日本は法治国家ですから、法律は大事です。ただ、それは日本の法律の話であって、やらなければならないことは日本の法律のロジックとは別に進んでいきます。その辺りは政治側として「より必要なものは何なのか」という発想が必要だと思います。

飯田)やはり有事となると、平時の仕組みを動かすこともしなければならない。災害などでは大規模な訓練を行うことがありますが、台湾などでの有事を想定した訓練を全政府的に行うということは、これまでなかったと思いますが。

鶴岡)夏に話題になったものは民間のシンクタンクによるものでした。やはり政府として、現職の政府高官を含め、さまざまな形でシミュレーションのような訓練を行うことは必要だと思います。

経験のない有事に備える訓練は必要

飯田)「机上演習」という呼び方をしますが、諸外国の場合はどのようなことをやっているのですか?

鶴岡)国によっては、政府のトップを含めてやっているようです。北大西洋条約機構(NATO)の大使級の会合でもときどき行われています。

飯田)「ここでこういう判断をしなければならない」ということが頭に入っているだけでも、スピード感は違いますか?

鶴岡)多くの人にとって、本当の有事は経験がないことですから、少しでも訓練しておく意味は大きいと思います。

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