キハ281系「北斗」引退! 噴火湾を眺めていただきたい海鮮駅弁
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
10月はラジオ・テレビの改編の時期ですが、鉄道の世界も変わり目の季節。国鉄時代は、しばしば10月にダイヤ改正が行われてきました。今年(2022年)は9月30日をもって、北海道を走る特急「北斗」として、平成6(1994)年から28年間活躍してきたキハ281系気動車が、定期列車から引退することが発表されています。その最後の活躍を見届けに、初秋の道南を訪ねました。
札幌からの一番列車、特急「北斗2号」が噴火湾に沿って走ります。「北斗」は、函館~札幌間を3時間半あまりで結ぶディーゼル特急。古くは函館で青函連絡船・津軽海峡線、いまは新函館北斗で北海道新幹線と接続、本州連絡の役割も担ってきました。9月末まで11往復の定期列車のうち3往復が、キハ281系気動車によって運行されています。キハ281系は、噴火湾をイメージしたというブルーの先頭車両が印象的です。
キハ281系気動車は、平成6(1994)年3月、特急「スーパー北斗」として、営業運転を開始しました。運行開始当初は、東室蘭のみに停まり、函館~札幌間を2時間59分で、走破する列車もありました。キハ281系は、カーブでは車体を傾け、スピードを落とさずに走ることができる振り子式車両。北海道では、この顔のタイプの車両が、その後も増え、現在も電車特急、気動車特急共に主流となっていますね。
(参考)JR北海道ホームページほか
私が初めて「スーパー北斗」にお世話になったのは学生時代。ふと、『北緯45度の冬至を見てみたい』と思い立ち、ぐるり北海道フリーきっぷ(当時)で、スーパーやまびこ~はつかり~スーパー北斗~利尻と乗り継ぐ途中でした。吹雪の函館駅のホームで台車売りの売り子さんから「蝦夷ちらし」を買い求めたのを思い出します。リニューアルはされましたが、いまも、函館駅弁には「蝦夷ちらし」(1400円)が健在です。
【おしながき】
・酢飯(北海道産米)
・蒸しほたて
・自家製味付け数の子
・ズワイガニ甘酢漬け
・寿司海老甘酢漬
・たこ
・いくら醤油漬け
・蒸しうに
・スモークサーモン
・錦糸玉子
・花ちらし蓮根
・ガリ
うに、いくら、ズワイガニをはじめとした、北海道らしい魚介がたっぷり載った「蝦夷ちらし」。特に北海道産を使った蒸しホタテや自家製の味付け数の子といった、駅弁屋さんならではの海鮮の味が楽しめるのも嬉しいですね。“ちらし”ですのでご飯がサッパリした酢飯で箸がよく進みます。近年は、北海道新幹線を活用して東京にも運ばれており、東京駅の「駅弁屋 祭 グランスタ東京」、大宮駅の「駅弁屋旨囲門」でも購入することができます。
駒ヶ岳を後に、ブルーの噴火湾に沿って札幌を目指すキハ281系気動車の特急「北斗」。昔、夜行列車の食堂車では、噴火湾を眺めながらいただく食事が最高のひとときでした。駅弁をいただくのも、やっぱりこの区間が最高に美味しいもの。北の海を見ていただくなら、やっぱり北海道らしい海鮮駅弁を選ぶと、より一層、旅情を感じられるものです。車両の世代交代は進んでも、駅弁を片手に楽しみたい、北海道の鉄道旅です。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/