キャスターの辛坊治郎が10月6日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。北朝鮮が相次いで発射している弾道ミサイルをめぐり、日本の現有防衛能力で撃ち落とせるかどうかについて、解説した。
北朝鮮が4日に中距離弾道ミサイルを発射したことを受け、岸田文雄首相と韓国の尹錫悦大統領が6日午後、電話会談を行った。また、韓国軍の合同参謀本部は5日、アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が韓国沖の日本海に派遣されることを明かした。
辛坊)北朝鮮は6日にも、2発の弾道ミサイルを発射しましたね。その1発目は通常軌道らしいですが、2発目は最高高度が50キロメートルと低いのに飛行距離は800キロメートルくらいあったことから変則軌道だったと考えられます。変則軌道とは、いったん上に発射し、降下してくるところで方向を変えて横に向かって進むような動きです。こうなると、撃ち落とせないんですよ。
弾道ミサイルを撃ち落とす日本のシステムは、基本的にイージス艦に配備された迎撃ミサイルSM 3です。要するに、日本海上の船から発射して撃ち落とすわけです。このSM 3の正確なデータは、どうやら軍事情報のため発表されていません。ただ、おそらく高度500キロメートルくらいまでは対応できるのではないかといわれています。高度約500キロメートルというと、国際宇宙ステーションの飛行高度と同じくらいです。つまり、SM 3は国際宇宙ステーションくらいまでの高さの物なら撃ち落とせるわけです。
北朝鮮が今回発射した1発目ならSM3で撃ち落とせる可能性があります。ところが、2発目のように途中でコースが変わって弾道が計算できないミサイルだと撃ち落とせません。最終的には地上に配備されたパトリオットミサイルで対応することになりますが、こちらは配備された場所から一定範囲内に落ちてくるミサイルなら撃ち落とせますが、一定範囲内を外れて落ちてくると、どうしようもないんです。端的に言うと、北朝鮮が今回発射した2発目は、日本の現在の防衛能力だと、すり抜けてしまう可能性があります。
さらに、北朝鮮が4日に発射して4600キロメートルの飛行距離があったとされる弾道ミサイルは、最高高度1000キロメートルだったといわれています。この最高高度は、国際宇宙ステーションの飛行高度の倍以上ですよ。つまり、SM3では届かないんです。発射直後や落ちてくる直前くらいを捕まえられれば、撃ち落とせないこともないのですが、基本的には撃ち落とせません。
弾道ミサイルの速度は、高度の頂点で最も遅くなります。その後、地球の引力によって再び加速してきます。ですから、最も速度の遅くなった辺りで撃ち落とせないと難しいです。つまり、4日に発射されたミサイルをSM3で撃ち落とすことはできないということです。