東京都医師会理事が語る 「骨粗鬆症」治療薬の注意点

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東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医・土谷明男氏が11月2日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。骨粗鬆症の投薬治療について解説した。

東京都医師会理事が語る 「骨粗鬆症」治療薬の注意点

※画像はイメージです

高齢の女性で背中に痛みが出ることが多い骨粗鬆症

飯田浩司アナウンサー)骨粗鬆症についてですが、実際に患者さんをご覧になっていて、どういう症状の方がいらっしゃいますか?

土谷)やはり、背中に痛みのある方が多いですね。

飯田)「背中が痛いです」と言われる方を診ると、骨が折れていることがあるのですか?

土谷)高齢の女性で「背中が痛い」と言われる場合は、レントゲンを撮って骨折していないかどうかを確認します。同時に骨密度も調べます。骨密度も低くて骨折していることを確認することが多いです。

骨粗鬆症の薬 ~代謝のための「骨を溶かす作用」を抑える

飯田)治療はどのようなことを行うのですか?

土谷)骨粗鬆症については、お薬を投与することになります。

飯田)どのような薬ですか?

土谷)骨粗鬆症のお薬というと、カルシウムやビタミンDなどのイメージがありますが、それは以前の話であって、いまはいろいろなお薬が出ています。

飯田)カルシウムなどではなく、どういうお薬なのですか?

土谷)骨も代謝しています。自然と溶けて、溶けた分を新しい骨で補う状態にあるわけですが、標準的なお薬は、骨が溶けるのを抑える薬です。「ビスホスホネート製剤」と言われているものです。

飯田)骨を溶けなくする。溶けなくなるということは、骨密度がよくなるということですか?

土谷)溶ける量とつくられる量のバランスによりますが、溶ける量が減ると、つくる量は一定程度ありますので、骨密度が下がらずに済みます。

東京都医師会理事が語る 「骨粗鬆症」治療薬の注意点

土谷明男氏、飯田浩司アナウンサー

空腹時に飲み、30分~1時間起きていなくてはならない「ビスホスホネート製剤」

土谷)ビスホスホネート製剤は、飲み方が通常の薬とは異なります。通常は食後にお薬を飲むことが多いと思うのですが、このお薬はお腹が空いているときに飲んで欲しいのです。

飯田)空腹時に。

土谷)食べ物と一緒に摂取すると、薬としての吸収が悪くなるのです。ですので、「朝起きてすぐ飲んでください」と言っています。

飯田)胃のなかが空っぽの状態で飲む。

土谷)薬が胃まで辿り着かず、食道で止まっていると、食道がただれることがあります。ですので、コップ一杯のお水でよく流し込み、飲んだあとは30分~1時間、体を起こしていてくださいと言います。

飯田)寝てしまうと……。

土谷)薬が上がってきて問題が起きるわけです。実は、この薬ができた当初は毎日(服用)でした。

飯田)毎日飲まなければいけなかった。

土谷)毎日できるかと言われると、大変です。いまは週1回、あるいは月1回だけでいいお薬が出ています。

「ビスホスホネート製剤」を長期間飲む場合の注意

飯田)代謝で(骨が)溶ける方を抑えるということですが、溶かす部分が少し遅くなるということは、代謝が悪くなるということでもあるわけですか?

土谷)その通りです。骨が代謝されて、骨の質を維持しているわけです。骨の代謝が落ちるということは、骨の質においては長い目で見るとあまりよくありません。

飯田)なかなかうまくいかないものですね。

土谷)このお薬を長期間飲む場合は、少しやめて、骨の質をまた戻す。あるいは違う種類のお薬を飲むことも推奨されています。

飯田)それに対応しているお薬もまた別にあるのですね。

土谷)骨の質をよくするお薬もあります。

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