トランプ氏のグリップが弱くなりつつある共和党は「どこへ行くのか」
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産経新聞・外信部編集委員兼論説委員の黒瀬悦成氏が11月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米中間選挙の投票結果について語った。
アメリカ下院、共和党が過半数まであと1議席
アメリカ中間選挙は11月14日までの開票の結果、連邦議会下院で野党・共和党が217議席を獲得。4年ぶりとなる過半数奪還まで、あと1議席に迫った。勝敗が確定していないのは残り13議席で、開票作業は大詰めに入った。
トランプ前大統領が推薦した新人候補のほとんどが負けた理由 ~2020年の選挙は不正があったと言わなければならない
飯田)アメリカ中間選挙ですが、事前には共和党が圧勝するのではないかと言われていました。現段階での結果をどうご覧になりますか?
黒瀬)上院の方は民主党が現状維持、あるいは1議席欠く可能性も十分あると思って見ていました。
飯田)上院は。
黒瀬)下院については、当選した共和党の方々の顔ぶれを見ると、現職の方は勝っているのですね。
飯田)現職は。
黒瀬)そして新人が負けているのです。新人はトランプ前大統領が面通しして、トランプさんのお墨付きをもらった人が負けているのです。
飯田)トランプさんが推薦した候補者が。
黒瀬)原因は何かと言うと、トランプさんのお墨付きを受ける条件というのが、「2020年の大統領選挙は不正があった」と言うことだったのです。
飯田)前回の大統領選で不正があったということを。
黒瀬)一方で現職の場合は、選挙期間中、大統領選のことはほとんど話していないのです。経済や犯罪増加の話、移民の話などを争点として戦っています。
飯田)現職の場合は。
黒瀬)しかし、新人の方は選挙の話をするしかない。有権者がそんなトランプ派の新人議員に対して、「この人はどうなのだろうか」と判断したことが原因になってしまったのではないかと思います。
中間選挙の結果を受け、トランプ氏のグリップが弱くなる可能性が出てきた共和党 ~今後、共和党はどこへ向かうのか
ジャーナリスト・佐々木俊尚)お話を伺っていると、「トランプ離れ」のようなことが共和党支持派のなかで起きているような感じがします。これまで左右で分断が続いていると言われてきたアメリカですが、その分断に若干、歯止めがかかってきている状況もあるのでしょうか?
黒瀬)いわゆる左右の分断は、これからも続くと思います。選挙結果を見ても明らかだと思うのです。
飯田)左右の分断は続く。
黒瀬)民主党も共和党も、上院・下院ともにほぼ半分半分になってしまっているので、完全に二分されていることを意味しています。
飯田)なるほど。
黒瀬)これから注目なのは、「共和党の内部がどうなっていくか」ということです。いままではトランプさんがよくも悪くもグリップを効かせていたけれど、そのグリップが今回の中間選挙を受けて、少し弱くなる可能性が出てきた。今後、共和党がどこに向かっていくのかというところだと思います。
トランプ氏に代わるニューリーダーとして注目されるデサンティス氏
飯田)黒瀬さんは11月16日の産経新聞・国際面に「黒瀬悦成の米国解剖」というコラムを書いていらっしゃいます。「最大の敗者はトランプ氏」ということでしたが、この先ニューリーダーが出てくるとすれば、どういう人になりますか?
黒瀬)よく下馬評に上がるのが、「ミニトランプ」と言われているフロリダ州のデサンティス氏です。確かにいま大注目の人物で、一部の世論調査では、トランプ前大統領よりも支持が高いのです。
飯田)トランプさんよりも。
黒瀬)ただ、大統領選まではまだ2年もあるので、いまの時点で名前があがってくると、トランプ前大統領含め、他の候補からも激しく足を引っ張られる状況にあります。そういう状況をデサンティス氏がどう切り抜けられるのか。
飯田)なるほど。
黒瀬)最大のハードルは、トランプ前大統領の攻撃をどうかわすかだと思いますが、直接対決すればトランプ前大統領が勝つと思います。口喧嘩の天才ですから。そうなると、ある程度の段階までは、「私のような人間はトランプさんにはまだまだ」などと言いつつ、適当なタイミングで「バシッ」とひっくり返す必要があるのだと思います。
バイデン大統領の再選の可能性は
佐々木)民主党側は、次期大統領選挙で「バイデン大統領はどれくらい安泰なのか」ということについて、どう見られているのでしょうか?
黒瀬)相手がトランプさんであれば、バイデン大統領は「自分は勝つ」と思っていますし、民主党の大方の見方もそうなのだと思います。しかし、必ずしもトランプ前大統領が最後まで勝ち残るとは限らないし、ご本人は高齢です。もう1つはインフレ、経済の問題がまだ残っているわけです。インフレを鎮静化させていかないと、誰が共和党の候補になったとしても、再選は簡単ではないと思います。
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