東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が11月16日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行について解説した。
新型コロナとインフルエンザの同時流行はあるのか
飯田浩司アナウンサー)いま警戒されているのが「新型コロナとインフルエンザが同時流行するのではないか」ということです。新型コロナは第8波の入り口に差し掛かっているという話もありますが、同時流行の兆候はあるのでしょうか?
尾﨑)報道でも「フルロナ」と呼ばれていて、両方同時に感染してしまう人もいると言われています。そういう方ももちろんいらっしゃると思いますが、爆発的な流行につながる兆しはありません。
飯田)その兆しはない。
尾﨑)兆しとしては、新型コロナの方がこれから感染者数が増えていくのではないでしょうか。インフルエンザはまだそこまで流行していません。同時流行というよりは、まず新型コロナが「グッ」ときて、そのあとにインフルエンザが流行するという話をされている研究者の方が多いような気がします。しかし、断定はできませんので、同時に流行することも考えた対策が必要です。
新型コロナとインフルエンザの見分け方 ~まずは抗原検査キットで新型コロナに感染しているかどうかを調べる
飯田)新型コロナとインフルエンザはどちらも熱が上がりますが、見分け方はあるのですか?
尾﨑)熱が出て、「だるい」「節々が痛い」「喉が痛い」などの臨床症状はありますが、「こういう特徴がある」ということはないと思います。
飯田)特徴のある症状はない。
抗原検査キットで調べて新型コロナが否定できたら、通常のクリニックで診てもらう
尾﨑)デルタ株であれば、味覚障害や嗅覚障害などが出る方が多かったので、そういう症状が出れば、ある程度は区別できたと思います。いまは途中から味覚障害などが軽く出る方はいますが、初発では熱と喉の痛み、咳ぐらいですから、判別できないと思います。新型コロナの抗原検査キットが手軽に手に入るようになっていますから、そちらを用意してもらい、まずは新型コロナかどうかを調べていただきたい。
飯田)まずは抗原検査キットで調べる。
尾﨑)抗原検査キットの検査で「新型コロナではない」ということがわかったら、インフルエンザやその他のいつでも流行するような発熱性疾患だと思います。新型コロナがある程度否定できれば、普通のクリニックで診察してもらってください。
飯田)通常のクリニックで。
尾﨑)発熱外来や診療・検査医療機関に行く必要はなく、普通に診てもらえばいいのです。
抗原検査キットで調べる場合、「偽陰性」を避けるため、熱が出た直後と12時間以上空けてからの2回検査する
飯田)抗原検査キットを事前に薬局などで手に入れておくことは、いまは容易にできるようになっていますね。
尾﨑)注意が必要なのは、朝起きて「体調が悪いな」という段階で、「もしかしたら新型コロナかも知れない」と検査しても、抗原検査はある程度のウイルス量がないと陽性にならないのです。「熱が少し出てきた」あるいは「調子が悪い」というときに検査しても偽陰性になる可能性があります。
飯田)なるほど。
尾﨑)そういう場合は、12時間~1日ぐらいおいて「熱が高くなっている」「かなりおかしい」という段階で検査すると、新型コロナであれば、おそらくそこで結果が出ます。抗原検査キットは複数個用意しておいていただき、2回検査するということです。
飯田)直後と、時間を空けてから。
尾﨑)そうすると精度が上がり、あまり間違った診断にはならないと思います。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます