次世代を担う「蓄電池」普及への課題 高い技術を持っていてもビジネス化できない日本

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月刊「エネルギーフォーラム」編集部長の井関晶氏が11月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次世代を担う蓄電池の現状と可能性について解説した。

※画像はイメージです

開発が進む「全個体」電池

蓄電池に関しては、経産省が2022年8月に策定した蓄電池産業戦略のなかで、2019年におよそ5兆円という市場規模が2030年にはおよそ30兆、2050年には100兆になるという景気のいい見通しを出している。ニーズの高まりの背景には高騰する電気料金対策があり、太陽光発電と組み合わせて自家発電システムとして導入すると電力会社に支払う電気代を抑えることができるということで、晴れた日、人があまりいない日中に電気をつくってそれを蓄電池で貯めておいて夜に使えば電気代が浮くというもの。それ以外にも、ここのところ災害が多く、送電線の鉄塔や電柱などが損傷して停電というケースも目立っているため、その停電対策としての蓄電池のニーズがある。

この蓄電池、ひとことでいってもいろいろある。車に積まれる「車載用」、これはハイブリッドだとかEVだとかで使われるもの。それとは別に需要地などに固定しておく「定置用」があるが、「定置用」のなかにも2種類あって、一般家庭などの需要先に設置する「分散型蓄電池」と大手電力会社の送電系統に接続する「系統用蓄電池」。これはある意味、家庭用か企業用かといったことになるが、特に「系統用蓄電池」は非常に大きなものが変電所や発電所の脇に併設されている。そして周波数が安定するために、停電リスク軽減のために使われる。

こうした蓄電池がどういったメリットを生むのか。エネルギー問題に関する日本唯一の総合誌、月刊「エネルギーフォーラム」編集部長の井関晶氏に訊いた。

飯田)家にあると電気代が結構得になるというケースは出てきているのですか。

井関)出てきています。経産省がストレージパリティという言葉で言っているのですが、わかりやすく言うと、蓄電池を導入して経済的メリットが発生する状態ということです。その2030年度の目標価格として出ているのが業務用、産業用で6万円、家庭用で7万円ということです。

飯田)その目標に対して、現状の蓄電池でクリアしているものというのはあるのですか。

井関)パワーエックスさんという、2021年に創業したばかりのベンチャー企業が、6万円を切る価格で提供できています。

飯田)一方で、大口需要家が使うという感じなのですか。

井関)大口需要家といいますか、再生可能エネルギーの大量導入という政策を受けて、電力会社がどんどん送電系統に再生可能エネルギーがぶら下がってきているという状況です。蓄電池を併設することで、自然エネルギーが発電しないときに蓄電池から放電をしてということで、変動を緩和させるという役割を担っておりまして、どんどん導入が進んでいくのではないかと思います。例えば九州電力でつくった大型蓄電池(バッテリーパーク)は、5万キロワットくらいで貯められるということですね。ただやはり電池の特性上限界というものはありますので、そういう意味では次世代型電池の開発というのもかたや進んでおります。それが全固体といわれる電池です。

飯田)全固体。

井関)いまの電池は電解質の液体を使っているのですけれども、それを固体化してトヨタ自動車さんなどがいま開発に力をいれています。2030年くらいまでに登場して、高効率で安全性も高く大容量化も進むという。

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飯田)2011年の東日本大震災以来、国が旗を振って再生可能エネルギーをやるのだという。特に太陽光には相当ここに力を入れるというか、全振りするようなかたちでしたけれどもこれはやはり安定しないというのがありますものね。

数量政策学者・高橋洋一)そうですね。我が家も太陽光を入れているのですが、最初はすごく売電価格が高かったのですよ。それがだんだん下がってきたでしょう。そうすると売電するより自分のところで貯めた方がいいのかと最近思い出してきました。売電価格が下がっているのだったら自分のところで貯める。貯めるときに蓄電池なのです。蓄電池というのは技術がなかなか新しいものが出ないのですよね。いまリチウムイオンというのでほとんどやっているのですけれども、あれも30年くらいやっているのだけれどもなかなかブレイクスルーが出てきません。蓄電池というのは何回かやると劣化するでしょう。そこが気になるのでそのための蓄電池を我が家に入れるのは少しコストが合わないかなという感じなのです。電気自動車であれば蓄電池を活用できるでしょう。だから電気自動車の方がいいのかなと私などは個人的に思っています。

飯田)なるほど。電気自動車を導入してそして太陽光なりでつくった電気をそこに。

高橋)電気自動車には蓄電機能がありますからね。そういう風に蓄電池だけというか電気自動車を買ったら、そこの蓄電池を活用して我が家の方の蓄電池にできるかなといま思っているくらいです。

普及には国の支援が必要

飯田)そして井関さんに蓄電池における日本企業の技術開発力、市場戦略などについてもうかがってまいりました。

飯田)日本の企業が開発した蓄電池で注目されているものというと。

井関)テレビCMでも目にする機会が多い日本ガイシさんが、唯一開発されている電池というのがNAS電池というものです。硫黄とナトリウムイオンを化学反応させて充放電するという大型の蓄電池システムです。これを世界ではじめて実用化した会社でもありまして、離島などといったところでも系統安定化とかにも使われているという。日本のみならず海外でも導入されているということで250ヵ所以上ですか。

飯田)海外などですと日本以上に電気が安定しないみたいなところでは、こういう蓄電池であるときに貯めておくみたいなことというのはすごく貢献しそうですね。

井関)そうですね。これから途上国などでのニーズというのも高まってくると思います。課題的なことを申し上げますと、日本はかなり高水準な技術力というものを持っているとは思うのです。ただそれをビジネス化して市場投入していくというのができていない。経産省の方も実証実験はものすごく熱心にやるのですよ。これでもかというくらい熱心にやるのですけれども、だいたいそこで終わってしまうのです。

飯田)そこから事業化に向けてさらにということにならないのですか。

井関)なかなかならない。あとはもう民間にお任せしますという。

飯田)これだけ技術ができたのだからあとは頑張ってというように。

井関)そうです。実は特に新製品や新技術に関しては市場導入というのが極めて重要です。政策的な措置ですよね。それこそ大手メーカーさんとかさまざまなベンチャー企業さんとかと連携して、ある程度普及するところまでは国の支援というのが必要かと思います。

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飯田)この国の支援に関して政府調達などで支援ができないかといったところも、月刊「エネルギーフォーラム」で書かれています。そういうところまでお金は回っていかないものなのですかね。

高橋)技術があればいいのだと思うのだけれども、先ほどのNASも、新しいのだけれども、なかなか。全固体の話がありましたが、そこまでいかないとブレイクスルーにはなかなかならないという感じですよね。少しずつ蓄電池の性能は上がるのですけれども、すごくゆっくりですよね。何でもそうですが、パソコンなどでもほかの機械の性能はすごく上がるのだけれども、電池のところだけはあまり上がらないのですよ。

飯田)ここがネックになってしまっているという。

高橋)全部のネックになっていますから何かブレイクスルーが必要だと思うのですけれどもね。

飯田)それこそ今回、エネルギーで特に電気の話ですけれども、電気代を下げるために補助金をガンガン出してみたいな話をやっていますけれども、それで何兆円も出すということであればその一部でもいいからこの技術開発や市場導入にもしくれるのであればもっとブレイクスルーになるかもしれないのにという。

高橋)全固体というのはいますごく有力なのですけれどもね。先ほども話していましたけれども、2030年くらいということですからね。それまでは微々たる改善しかできないですよね。

飯田)いまは、バッテリーは基本的に液体、電解液を使っているからこれが輸送に対して危険であったり、あるいは破損したときに発火するのではないかであったりといろいろなことが言われますものね。

高橋)私などは携帯で発火を2回もやったことがあります。結構ありますよ。

飯田)やはりその辺の安全性なども含めてこれから先のブレイクスルーがより必要になってくるということですね。

高橋)そうですね。これがネックになっているのが多いですよね。バッテリーがネックで技術が進まないというのが多いから、ここを破ると結構全体的に進みますよね。

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