多くの人が知らない「ヤングケアラー」の実態

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東京都医師会広報委員で「石井メンタルクリニック」院長の石井一平氏が11月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ヤングケアラーの実態について語った。

多くの人が知らない「ヤングケアラー」の実態

※画像はイメージです

ヤングケアラー

飯田浩司アナウンサー)今回は「ヤングケアラー」について伺います。

石井)ヤングケアラーという言葉の正確な定義はないのですけれども、本来、大人が担うとされる家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことをヤングケアラーと呼んでいます。

飯田)本来であれば大人がするところを。

石井)障害や病気のある家族に代わって買い物、料理、掃除などの家事を行っている。また、家族の代わりに幼い兄弟や障害、病気のある兄弟の世話をしたり、見守りをしている。家計を支えるために労働をして家族を助けている。アルコールや薬物、ギャンブルなどの問題を抱える家族の対応をしている。同じようにガンや難病、精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている。

飯田)家族の看病を。

石井)最近では日本語が第一言語ではない家族や、言葉を発することができない、聞こえないような家族のために通訳などをなさっている方もいます。

家族の面倒を見ることは当たり前のこと、また、他人には恥ずかしくて言えない ~学校の先生やカウンセラーに相談を

石井)中学校や小学校の学校単位で、「そういう生徒さんがいるか」と学校に質問すると、半数くらいの学校が「いる」と答えるとのことです。

飯田)半数くらいの学校で。

石井)生徒自身に話を聞くと、6~7%の方が「自分はそういうことをしている」と答えています。そういうお子さんたちは1日に4時間程度、介護やケアなどに時間を使っているようです。

飯田)相談しようにも、相談する相手がそもそも考えつかない子もいるのですか?

石井)お手伝いをすることが当たり前だと思っているようです。また、ご自分で家庭の事情を他の方に言うことが恥ずかしい、「言ってはいけないのではないか」と思うこともあります。

飯田)他人に言ってはいけないのではないかと。

石井)そういう方の状態を聞いてくれる方や、お手伝いしている方もいます。学校の先生やスクールカウンセラー、親戚の方や友達、医者などもお手伝いすることはできます。自治体の職員などがお手伝いすることもありますので、ご自分が信頼できると思った方に相談した方がよいかと思います。いろいろな政策や手段があります。

多くの人が知らない「ヤングケアラー」の実態

石井一平氏、飯田浩司アナウンサー

介護保険や総合支援法など、さまざまな制度がある

飯田)自分が思うよりも、手を挙げるといろいろな人が見てくれたり、手伝ってくれる。実は社会のなかには助けるシステムがあるのだけれど、そこに辿り着けない子もいるのでしょうか?

石井)その通りだと思います。介護保険や総合支援法など、さまざまな制度があります。ぜひ利用なさるといいと思います。

恥ずかしいことではないので、遠慮なく相談を

飯田)改めて、ご自身がヤングケアラーだというお子さんが聴いていらっしゃるかも知れません。メッセージをお願いします。

石井)「自分が守らなければならない」と思っていらっしゃるかもわかりませんが、ご自分でできることには限りがあります。いろいろな制度や人員、お手伝いできるものはたくさんありますので、遠慮なくご相談なさるといいと思います。恥ずかしいことではありません。

飯田)周りや社会、この国は見捨てたりしないですね。

石井)そうですね。

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