更年期障害の治療として効果的な「ホルモン補充療法」

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。女性ホルモンが乱れる原因とその対策について語った。

更年期障害の治療として効果的な「ホルモン補充療法」

※画像はイメージです

「エストロゲン」と「プロゲステロン」をコントロールする視床下部 ~精神的ストレスなどでホルモンバランスが乱れる

飯田浩司アナウンサー)女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、交互に絶妙なバランスで保たれているということですが、タイミングによって乱れることもあるのですか?

森田)エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌されるのですけれど、その分泌をコントロール、指揮しているのが脳のなかにある下垂体と視床下部です。特に視床下部はとてもデリケートなところで、ちょっとした食生活の乱れや精神的ストレスがあると、正常な指揮ができなくなってしまいます。その結果、卵巣からの女性ホルモンのバランスが乱れてしまうと考えられています。

飯田)脳からの指令を安定させて、乱れにくくするような方法はあるのですか?

森田)食事や生活習慣をコントロールすることが大切だと思います。例えば、過度なダイエットには注意して、バランスのよい食事を心がけることが大切です。1ヵ月で2~3キロのダイエットをしただけで、女性ホルモンが乱れ、月経も順調に来なくなったという例がしばしばあります。

バランスのよい食事や十分な睡眠が大切

森田)また、偏った食事も女性ホルモンのバランスを乱す原因の1つですから、さまざまな栄養素を摂取することが大切だと思います。あとは睡眠時間ですね。

飯田)睡眠。

森田)必要な睡眠時間は人によって異なりますが、7時間くらいは必要だと言われています。朝に「きょうは元気になったな。よく寝たな」と思えるようであれば、質のよい睡眠を取っているということです。入浴や寝る前のストレッチ、ヨガなどもいいでしょう。新行さんはよく眠れていますか?

新行市佳アナウンサー)日によりますね。毎日ではないかも知れません。

更年期障害の治療として効果的な「ホルモン補充療法」

飯田浩司アナウンサー、森田豊氏、新行市佳アナウンサー

大豆製品は更年期障害を改善させる効果がある

森田)女性ホルモンは加齢とともに減っていき、更年期障害を引き起こすことがあります。その対策として、大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンと似たような構造式を持つので、大豆製品を食べることによって改善する場合もあると言われています。

メリットの高いホルモン補充療法

森田)症状が強いようでしたら、更年期障害の治療法として、積極的にホルモン補充療法を受けることをお勧めします。飲み薬の他、最近では貼り薬が医療に流用されるようになってきました。

新行)貼り薬ですか。

森田)欧米では20年あまりの実績があり、需要が高まっています。最も普及率の高いオーストラリアでは56%の女性が使っていて、欧米では30%~40%の人に利用されています。ある統計では、日本国内だと約2%しか普及していないということです。

新行)普及率が低い理由は何かあるのですか?

森田)薬を飲むことや、何かを付けたり貼ったりすることに抵抗感の多い国民性もあるのではないでしょうか。また、「ホルモン補充療法によって乳がんの発症リスクが高まるのではないか」という調査結果も影響しているのではないかと思います。ただ、調査対象になった方々の年齢層は63歳以上であり、およそ半数以上が喫煙経験者、35%の方が高血圧という、あまり健康とは言えない女性たちでした。

飯田)そうなのですね。

森田)ですから日本女性医学学会、あるいは国際閉経学会などはホルモン補充療法のリスクを見直すべきだとしていて、更年期の女性にとってホルモン補充療法は、よりメリットの高い治療であると再評価しています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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