パンダの数が、80年代に激減したのはなぜか
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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(1月31日放送)にパンダライター・イラストレーターの二木繁美が出演。アドベンチャーワールドのパンダについて語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。1月30日(月)~2月3日(金)のゲストはパンダライター・イラストレーターの二木繁美。2日目は、アドベンチャーワールドで生まれたパンダの家系図について、また、パンダに与える「サトウキビジュース」について---
黒木)中国にいますが、二木さんは和歌山のアドベンチャーワールドで飼育されていた明浜(メイヒン)と優浜(ユウヒン)の名付け親でもいらっしゃるのですね。
二木)公募していたので応募したのですが。見事、名付け親になれました。
黒木)名前を公募していたのですね。
二木)和歌山のアドベンチャーワールドは白浜というところにあるので、最初に生まれたお母さんパンダには、良い浜、「良浜(ラウヒン)」という名前が付けられました。以来、アドベンチャーワールドで生まれたパンダの名前には「浜」が付けられています。
黒木)そういうことなのですね。それで明浜、優浜。
二木)明浜は梅梅(メイメイ)というお母さん、優浜は良浜というお母さんで、それぞれお母さんが異なります。
黒木)お母さんが違うのですね。
二木)梅梅という最初にいたお母さんには、中国から来るときにお腹のなかに人工授精で良浜という子どもがいて、アドベンチャーワールドで出産しました。梅梅が亡くなったあとに、良浜と永明(エイメイ)がペアリングして生まれた子どもが優浜です。
黒木)難しい。
二木)ややこしいですね。
黒木)パンダファミリーの家系図があるのですが、ややこしいですね。永明からの子孫はたくさんいますね。
二木)中国に渡った子たちが多くいて、孫もたくさんいます。
黒木)大家族ですね。
二木)中国では「浜家」という一大勢力になっています。
黒木)そういうジャイアントパンダですが、数が減少しているということです。
二木)1980年代に竹の花の一斉開花がありました。花が咲いたあとは竹が枯れてしまうのです。パンダは竹を主食にしているので、食べるものがなく、飢え死にしてしまったパンダが多くいました。
黒木)食べる竹がなくて。
二木)加えてそのころは、毛皮を取るために密猟もありました。そのため、野生のパンダは1100頭くらいにまで減ってしまったのです。
黒木)1100頭にまで。
二木)そこから中国が保全活動をして、2015年には1864頭まで増えています。最初は「絶滅危惧種」だったのですが、ワンランク下がって「危急種」に指定されています。
黒木)大切に守っていかなければいけない命なのですね。しかし、竹しか食べないのですね。
二木)主食は竹で、副食としてりんごやにんじんなどを食べています。
黒木)他のものも食べられるのですね。
二木)「パンダ団子」と言って、竹の粉など、いろいろなものを混ぜて蒸してだんご状にしたものも副食として与えています。あとは動物用のペレットも栄養補給のために与えているようです。
黒木)不思議なものを持ってきていただいたのですが、これは何ですか?
二木)この缶は「サトウキビジュース」というジュースの缶です。神戸の王子動物園の旦旦(タンタン)というパンダがいま心臓疾患を抱えていまして、投薬をするのに、薬は苦いから飲んでくれないのです。それで飼育員さんが考えついたのが、このサトウキビジュースに薬を粉々にして混ぜて与えるということです。
黒木)それがこのジュース。人も飲めるし、パンダちゃんの薬用の飲み物でもあると。
二木)甘すぎるので、水で薄めて薬を入れて与えているのですが、おねだりに来るくらい好きなのです。以前は果物のなかに薬を埋め込んでいたのですが、薬だけ吐き出してしまい、そのうちに果物自体も食べなくなってしまったのです。
黒木)賢いのですね。
二木)人間の5歳くらいの知能と言われているのですが、もっと賢い気がしますね。
黒木)そのためのサトウキビジュースなのですね。パンダちゃんの好きな。やはり甘いですか?
二木)甘いのですが、私たちが飲むには、レモンを入れて飲みやすくする必要があるようです。ファンの方は取り寄せて飲んでいます。
二木繁美(にき・しげみ)/ パンダライター・イラストレーター
■愛媛県出身。日本(にほん)パンダ保護協会会員。
■グラフィックデザイナーを経て、ライター・イラストレーターとして独立。
■トラベル系の取材記事や企業オウンドメディアのコンテンツ作成、インタビューを執筆。
■国内にいるパンダの全頭を撮影してまわる、筋金入りのパンダ愛好家。
■和歌山アドベンチャーワールドのパンダ「明浜(めいひん)」と「優浜(ゆうひん)」の名付け親でもあり、パンダイラストを描き・グッズも作成。
■講談社WEBメディア「現代ビジネス」で、パンダのタンタンの日常を伝える『水曜日のお嬢様』を連載中。そのほか・パンダコラムを数々執筆。
■2022年12月には初の著書『このパンダ、だぁ~れだ?』(講談社ビーシー)を出版。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳