日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が4月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。経済産業省が発表した先端半導体製造装置の輸出管理厳格化について解説した。
先端半導体製造装置の輸出管理を厳格化へ
経済産業省は3月31日、先端半導体の製造装置23品目について輸出管理を厳格化すると発表した。輸出管理の仕組みが整っていると認めたアメリカや韓国など42の国や地域への輸出以外は毎回、経済産業大臣の許可が必要となり、中国などへの輸出は事実上難しくなる。
飯田)今年(2023年)の初めに日米首脳会談がありました。そこでも念を押されていましたよね?
秋田)議論していましたね。アメリカは既に先端半導体について、事実上の輸出禁止に近いような措置をとっています。ここで「だだ漏れになっては困る」ということで、まずは日本・オランダの2ヵ国と話したのでしょう。
「切磋琢磨する」のではなく、中国が強くなるのを阻止していくというフェーズに入ったアメリカ
飯田)毎回、経済産業大臣の許可が必要になる。報道によっては「厳しくなる」というところと、「実は条件さえ満たせば輸出できるので、あまり影響はない」とするところ、2つに分かれているように見えたのですが。
秋田)いずれにせよ、いままでなかった枠組みができたのですから、やはり厳しくなるのだと思います。これまでなかった規制ができるわけですからね。
飯田)規制する必要がなければ、枠組みをつくる必要もないわけですね。
秋田)これまでアメリカが同盟国に協調を求めていた対中政策は、「中国と競争していく」ということでした。中国も強くなるけれど、自分たちも強くなってハイテクなどで「競争していこう」というレベルだったのです。
飯田)中国と競争していく。
秋田)しかし、今回は自分たちが強くなるだけではなく、相手が強くなるのを阻止する。もはやお互いに強くなって「切磋琢磨する」のではありません。中国が強くなるのを阻止するフェーズに入ったのだと思います。
飯田)新たなフェーズに。
秋田)半導体はその第一歩です。アメリカの専門家によると、今後はAIやバイオなど、その他の重要な分野でも同じような措置を検討するだろうと言われています。
「何をどこまで切り離すか」を試行錯誤しながら行う日米政府 ~完全にデカップリングすることはできない
飯田)日本の経済界も、現地に生産を移すなど、中国との付き合い方を考えなければならない。大手自動車メーカーが自動運転を中国で研究するなどというニュースもありましたけれど、それも難しくなっていきますか?
秋田)アメリカ政府も日本政府も、「何をどこまで切り離すか」というところは試行錯誤していると思います。米ソ冷戦のときとは違い、完全にデカップリングするわけではなく、プチデカップリングだと思います。
飯田)分野ごとに。
秋田)「ここは切り離せるけれど、ここを切り離したら大変なことになってしまう」というように、メスで微細にデカップリングしようとしているのです。
中国との結びつきが強いのですべてを切り離すことはできない ~「切り離すことができるかどうか」を微細にチェックしながら進める
秋田)中国との結びつきがあまりにも深いので、全部を切り離すことはできない。「ここはメスで切れるところなのか、切れないところなのか」を日々チェックしながら進める必要があります。
飯田)チェックしながら。
秋田)来年(2024年)にはデカップリングされてしまう可能性があるとすれば、先回りして、別の市場や生産拠点に移す。あるいは中国に関してだけ別の会社にするなど、いろいろなことを考える時期かも知れません。
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