自動運転「レベル4」解禁 今後の課題

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日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が4月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「レベル4」が解禁された自動運転の今後の課題について解説した。

自動運転「レベル4」解禁 今後の課題

大阪・関西万博を見据え次世代交通システムの実証実験が行われる。自動運転レベル4相当の「NAVYA ARMA」が披露された=2022年4月6日、大阪市此花区の舞洲実証実験場 写真提供:産経新聞社

自動運転「レベル4」が解禁 ~ドライバーがいない状態で自動運転が可能に

改正道路交通法の施行に伴い、4月1日から特定の条件のもとドライバーがいない状態で自動運転を行う「レベル4」が解禁された。過疎地域など、地方における公共交通機関での活用が期待される。

道路交通法上は「特定自動運行」と定義 ~遠隔で運転が可能だが許可を得る必要あり

飯田)「レベル4」では、遠隔で監視できるなど特定の条件下であれば、ドライバーがいない状態で完全自動運転の車が公道を走れるようになります。道路交通法上は「特定自動運行」と定義されるようです。

これまでは「レべル3」の自動運転が施行されていて、基本的に車の運転はシステム、機械やコンピューターなどが行ってくれますが、緊急時には人が運転しなければならない。だから人は張り付けておかなければなりませんでした。

自動運転の実験などをしているところで実際に乗ってみると、前方確認などの要員として、ある意味で車掌さんのような人が1人乗っている自動運転バスなどがあります。

レベル4になるとそれは遠隔で行われるので、車にはオペレーションのための人間を乗せなくてもいいのですが、法改正に合わせて創設された運行許可制度で許可を得る必要があります。

いまのところ自家用車は対象外であり、過疎地などでの移動サービス、公共の小さいバスなどが対象になります。都道府県公安委員会に速度などの運行計画を申請し、事業者が許可を得る必要があるそうです。

その条件として車内外の映像や音声、位置情報を確認できる「遠隔監視装置」の設置や、遠隔で運行を監視する「主任者」の配置。またサイバー攻撃対策など、さまざまな条件が定められています。国交省による自動運転車の認可も必要です。安全性など、道路運送車両法で定めるレベル4の保安基準も満たす必要があります。

米アリゾナ州では2018年から自動無人タクシーのサービスが導入

飯田)安全面の担保とイノベーションのバランスをどう取るかの問題になると思いますが、各国も試行錯誤している段階でしょうか?

秋田)アメリカのアリゾナ州では、2018年から自動無人タクシーのサービスが導入されたという記事が出ていました。カリフォルニアでもそのような動きがあります。無人運転による長距離トラックの輸送実験も進んでいるようです。アメリカのように国土が広く、道が広いところの方がやりやすいのでしょう。

飯田)アメリカのように。

秋田)日本も地方での過疎化を防ぐために、自動運転が普及したらいいと思います。

地方で免許を返納した高齢者にとっては役立つ制度になる

飯田)ご高齢になって、認知の不安などから免許を返納する方もいます。しかし、地方では生活のための足として使っている車を手放すと、生活できなくなってしまいます。そういう地域では、自動運転が功を奏するのでしょうか?

秋田)私の知人も東北に実家があり、親が車の免許を返納したそうです。しかし、1人で暮らしているので、週末に実家へ行って買い物を手伝っていると話していました。ただ、足腰はしっかりしているそうです。こういう制度が整備されていけば、役に立つのではないかと思いますね。

初期投資を少なく抑え、効率的にできるかどうかが成否のポイント

飯田)今後の課題は何でしょうか?

秋田)これは動くコンピューターのようなものではないですか。これだけで動くわけではなく、センサーなどを道路に建てるなど、インフラを整える必要があると思います。初期投資は国が補助金などでかなり支援しないと、地方の人口が少ないところなどは特に採算が取れないでしょうから、そこは課題ですかね。

飯田)自動運転に関して初期に議論になったのは、インフラをどこまで整備するかの問題と、車の方の性能センサーなど、ある意味「車の方で完結できる形にするか、インフラ協調にするか」という路線の対立がありました。両方やらなければならないのですか?

秋田)いずれにしても、整備されれば人件費は大幅にカットされるので、初期投資を少なく効率的にできるかどうかが成否のポイントではないでしょうか。

新しいものにリスクはつきもの ~政治がどうカバーできるか

飯田)現段階では、さらなる技術開発と環境整備が必要だということです。あとはライドシェア的なものとどう組み合わせるかなど、いろいろな議論があります。

秋田)新しいものが出てくると、日本では「これが危ない」「これが課題」となりがちですが、人口は減っていきますので、導入を進める価値はあると思います。

飯田)行政というよりも、政治のリーダーシップなどが問われるかも知れませんね。

秋田)行政は問題が起きると必ず「何をやっているのだ」と言われるので、慎重になると思います。新しいものにリスクはつきものですから、やはり政治も含めて……。

飯田)どうカバーするか。

秋田)我々も多少はリスクを許容していかないと、新しいものはなかなか広がりません。

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