お酢の研究が専門の小泉幸道先生が、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。お酢のうれしい健康効果や、お酢を簡単に取り入れられる酢レシピを紹介した。
小泉先生は、東京農業大学農学部醸造学科卒業後、東京農業大学教授に就任。40年以上にわたり食酢の研究を行い、「お酢博士」として『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『あさイチ』(NHK)などの情報・バラエティ番組で活躍。著書『やせる・若返る・病気が消える! お酢レシピ完全版』(サクラムック)、『お酢のちから 最新版 おいしく食べて健康になる! 生活習慣病が逃げていく!』(辰巳出版)でも、お酢の素晴らしい健康効果を伝えている。
■お酢の3つの健康効果
(1) お酢は血圧を下げてくれる
小泉先生:日本人が患う生活習慣病で最も多いのが高血圧症です。「高血圧」とは、心臓から流れてくる血液によって、血管に大きな圧力がかかる状態が続く病気。高血圧を放っておくと、やはり体が悪くなるので、早くいろんな形で対応してほしいです。
高血圧の人を対象に行った研究で、成人の男女に「1日大さじ1杯のお酢」をうすめて8週間毎朝飲んでもらい、血圧を測定したところ、多くの方の血圧が減少しました。平均低下率は最高血圧で6.5%、最低血圧で8%の減少という結果があります。
これはどういうメカニズムなのかというと、「お酢の『酢酸』には、血圧上昇に関わるホルモン調節機構『レニン・アンジオテンシン系』をおだやかに抑制する働きがある」ということが分かっています。
そして、酢酸代謝の過程で作られる「アデノシン」という成分があるんですが、これが 血管拡張を引き起こしてくれるので、「血圧が下がる」ということが分かったんです。ぜひ血圧が高い人には、お酢を取ることをおすすめします。
上柳:血の通り道を広げてくれるので、当然、血圧が下がるということですね。
小泉先生:そうです。また、正常な血圧の人が毎日お酢を飲んだとしても、血圧が下がることはありませんので、心配ないと思います。
(2) 血糖値の上昇を抑制してくれる
小泉先生:「血糖値」とは、血液中のブドウ糖の濃度を測定したもので、空腹時に低下し、食後には上昇します。血糖値上昇を抑制するには、血糖値が上がらない食べ方、「ゆっくり食べる」ということが一番大事です。早食いはダメです。また、「食物繊維の多い食べもの」を食べるようにしましょう。なぜお酢の中の酢酸が、血糖値の上昇を抑えてくれるのか。これも酢酸の影響で、胃の中の滞留時間が延長されるからです。
上柳:お酢を飲むことで、胃の中の食べ物が、ゆっくりと消費されるのですか?
小泉先生:はい。通常、摂取された食事は、胃の中である程度貯められた後、小腸に送られて吸収されます。酢酸は胃からの排出を抑制することで、小腸での吸収を遅らせ、その結果、血糖値の上昇を抑えてくれるということです。
上柳:胃酸が一度にワーっと出ないようにしてくれるんですね?
小泉先生:そうです。
上柳:ゆっくり消化されるから、血糖値も一気に上がらないのですね。
(3)内臓脂肪を減少させる
小泉先生:食べ過ぎると体内の中性脂肪が増え、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積し、血液中にも脂肪が増えてしまいます。
上柳:血液ドロドロの原因ですね。
小泉先生:その結果、血管が狭くなって血流が悪くなります。ある実験結果で、「毎日大さじ1杯のお酢」を取ることで、12週間後に内臓脂肪の数値が、摂取前に比べて約5%下がった。また、血中中性脂肪の値も12週間後に19%下がりました。この結果からどういうことが言えるかというと、「お酢の中の酢酸が、脂肪の合成を抑えてくれる」、「脂肪の分解を促進している」ということです。
上柳:お酢の酢酸って本当に素晴らしいですね。
小泉先生:酢酸、様々ですよね。ですから、毎日お酢を取り続けるだけで、肥満やメタボリックシンドロームの予防ができます。
上柳:年間を通して、毎日の食事の中でお酢を取り入れていきたいですね。
小泉先生:血圧の高い人、血糖値が高い人などにお酢はお勧めですが、お酢だけ取ればいい、ということではありません。あくまでも、お酢はそれらを助けてくれる一つの要因です。適度な運動 、適度な食事、バランスのいい食事など、そういうことも兼ねた上で、お酢を取り入れていただきたいです。
上柳:酢酸さえあればいい、ということではないのですね。
上柳:先生は、お酢を毎日取り入れることを推奨していますが、どんな風に使えばいいでしょうか?
小泉先生:基本的にお酢は調味料ですので、いろんな料理に入れてください。ただ、『料理が面倒くさい』という方は、お酢を薄めて飲むのもいいです。そのとき、「水」で5~8倍に薄めるのが基本です。
上柳:ストレートで飲むのは?
小泉先生:酸が4~5%もあるので、ストレートで飲むのは絶対にやめてください。
■「カルシウム」が3.4倍も取れるみそ汁の作り方
小泉先生:シジミなどの「貝のみそ汁」を作るとき、みそを入れる前に、お酢を入れて軽く煮ると、貝殻の中のカルシウムが外に出てきます。
・水(200ミリリットル)
・殻付きの貝
・お酢(小さじ1と1/2)
これが沸騰したら弱火で8分間煮て、最後にみそを入れる。これだけで、お酢を入れないものに比べ、「3.4倍ものカルシウムが取れる」ということが分かっています。もちろん、出来上がったみそ汁にお酢を入れても、お酢の効果はありますよ。
■「納豆」にお酢を入れる
小泉先生:納豆にいろんな健康効果があることは、皆さんご存じだと思います。そんな納豆を食べる時にお酢を入れ、「酢納豆」にして食べるのもお勧めです。納豆 1パックに対し、お酢を小さじ1~2杯くらい入れてかき混ぜると、納豆がふわっとしておいしいです。ただ、お酢を入れ過ぎると納豆菌のネバネバが壊れてしまうので、適量を入れるようにしてください。
お酢は、健康効果が科学的にいくつも立証されている発酵食品。“お酢を使った料理を作る”となるとハードルが高く感じるが、いつもの食事や食材に、お酢を少しプラスするだけで、その効果は十分得られるそう。健康面だけでなく、料理にひとかけするだけで、すっきりした味わいになり、香りも爽やかになる。お酢を食卓に置き、いろいろな料理にかけてみて、おいしい発見を楽しんでみては。
お酢博士・小泉幸道先生と、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHP(https://www.1242.com/genki/index.html)から、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報
「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/