新茶の季節! 本場・静岡、沼津駅弁の新作、「抹茶駅弁シリーズ」とは?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

抹茶あじ寿司

画像を見る(全9枚) 抹茶あじ寿司

5月は新茶のシーズン。香りのいい新茶をいただくと、心地いい渋みが体に沁みわたって、本当に癒されるものです。せっかく駅弁をいただくのなら、やっぱりお茶は欠かせません。そんな季節に合わせて、静岡・沼津の老舗駅弁屋さんが、「抹茶駅弁シリーズ」と題して、静岡東部で作られた抹茶・碾茶を使った新作駅弁を3つ発売しました。一体どんな駅弁なのか、早速いただいてみました。

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・三島~新富士間

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・三島~新富士間

ゴールデンウィーク真っ只中、東海道新幹線は、「のぞみ」が1時間に12本運行される時間帯もあって盛況です。あまり旅慣れない方も多いせいか、東京駅の新幹線改札口も「ピンポーン!」と鳴りっ放し。1つのレーンに1人ずつ駅員さんが付き「新幹線の乗車券・特急券を入れてからICカードをタッチ」とレクチャーする光景も多く、改札の通過に10分近くかかる時間帯もありました。連休中は、時間に余裕を持った移動がお薦めです。

沼津市内でバス待ちの時間に、地元産のお茶でひと息

沼津市内でバス待ちの時間に、地元産のお茶でひと息

連休中の東海道新幹線の車窓は、やっぱり茶畑! 三島の先、愛鷹山麓から富士川の手前にかけて、そして大井川を渡って牧之原台地、掛川にかけての車窓は、一番茶の瑞々しいお茶の葉が輝いています。静岡・沼津市の農産物直売所では、今年(2023年)の新茶が早くも並んでいました。新幹線に沿うように、茶畑を眺めながら散策したら、新茶を土産に、地元のお茶でひと息入れたくなりました。

抹茶あじ寿司

抹茶あじ寿司

人の流れが戻ってきたのに合わせ、静岡・沼津を拠点に駅弁を手掛ける老舗・桃中軒が、静岡県産の抹茶を使用した、3種類の「抹茶駅弁シリーズ」を4月14日に発売しました。こちらは、コロナ禍によって休業していた三島駅の新幹線ホーム駅弁売店の営業再開を記念したもの。なかでも、「抹茶あじ寿司」(1380円)は、発売から20年を迎えた名物駅弁「港あじ鮨」をもとに開発されたという新作駅弁です。

抹茶あじ寿司

画像を見る(全9枚) 抹茶あじ寿司

【おしながき】
・あじ寿司(静岡県産抹茶と麦入り寿司飯、鯵の切り身)
・伊豆天城産わさびの茎塩漬け
・椎茸軸の佃煮
・ガリ
・伊豆天城産生わさび

抹茶あじ寿司

抹茶あじ寿司

特製の酢で〆て、昆布の旨みを染み込ませた自慢の鯵と錦糸玉子、伊豆・天城産わさびの茎の塩漬けが載ったその下に、静岡県産の抹茶で炊き込まれた寿司飯が詰められています。寿司飯は麦を一緒に炊き込んでいて、碾茶(抹茶の原料)も振りかけるなど、手間を惜しまない作り。茶の香りと混ぜられたごまの風味を感じながら、緑色の寿司飯を口のなかに入れると、ところどころ、麦の歯応えある食感がクセになります。もちろん、自分ですりおろす生わさび入りです。

沼津香まだい寿司(抹茶寿司飯)

沼津香まだい寿司(抹茶寿司飯)

桃中軒の抹茶駅弁シリーズは、「抹茶あじ寿司」に加えて、「沼津香まだい寿司(抹茶寿司飯)」(1320円)、「抹茶めし弁当」(1080円)も登場しました。

抹茶めし弁当

抹茶めし弁当

「沼津香まだい寿司」も、麦入り抹茶寿司飯を使い、鯛の旨味が一層引き出されている一方、「抹茶めし弁当」は、経木の折箱に詰められた幕の内、「御弁当」の白飯を抹茶ご飯としたものです。いつものおかずはそのままに、新しく爽やかなご飯が入って、旅の楽しみがまた1つ増えました。

313系+211系電車・普通列車、東海道本線・三島~函南間

313系+211系電車・普通列車、東海道本線・三島~函南間

桃中軒によると、今回登場した「抹茶駅弁シリーズ」のなかでも、とくに「抹茶あじ寿司」は、「港あじ鮨」の美味しさを、静岡県の東部・伊豆地方だけでなく中・西部、さらには県外とより広いエリアに届けられるように開発が行われたと言います。実際、沼津~浜松間と、沼津~東京間は、ほぼ同じくらいの移動時間がかかります。東西に長い静岡県ですが、新茶のシーズン、本場のお茶駅弁をいただきながら、のんびり旅を楽しみたいものです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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