東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が5月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。感染症法上の分類が5類に引き下げられた新型コロナについて語った。
新型コロナが5類に引き下げられ、療養日数はどう変わるのか ~発症の翌日から5日間は外出を控えて欲しい
飯田浩司アナウンサー)5月8日から新型コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられました。5類になることで、療養期間などの日数はどう変わるのでしょうか?
猪口)これまでは感染症法に基づき、症状のある人は発症の翌日から7日間が経過し、かつ症状が軽くなって24時間が経過したら、一応解除できるという話になっていました。
飯田)2類相当のときには。
猪口)今後は、「発症の翌日から5日間は外出を控えて欲しい」と推奨されています。
発症しても「風邪だと思っていた」という可能性も ~感染拡大を心配する専門家
猪口)マスクに関しては、「10日間は着用してください」というような形ですが、難しいですよね。どこまで守られるのか。検査もマストではなくなりますし、新型コロナを発症していても、「風邪だと思っていた」という状況になる可能性もあります。
飯田)その可能性はありますね。
猪口)5月8日以降にフリーになって、また感染拡大が加速するのではないかと心配する専門家の方もいらっしゃいますね。
患者さんにはしばらくの間、マスク着用を続けて欲しい
飯田)お医者さんとしては、「家で大人しくしていましょう」ということですか?
猪口)我々医者であるならば、ご高齢の患者さんが多いですから、自分が発症したら外来診療はできません。医療機関としては、しばらくの間は面会の患者さん、外来の患者さんには、やはりマスクを着用して欲しいと呼び掛けております。
飯田)患者さんには。
猪口)一般の方たちが発症した場合、やはり5日間くらいは動かないでいただいた方が、感染は拡大しません。5類になったからと言ってウイルスがいなくなるわけではないし、病原性が突然なくなるわけでもありません。
飯田)そうですよね。
猪口)感染をきっかけとして重症化し、亡くなる患者さんがいるのは確かだと思いますので、なるべく気を付けていただきたいです。
コロナ禍の3年間を通して思うこと
飯田)今後の新型コロナウイルスに関して、メッセージがあればお願いいたします。
猪口)3年間、新型コロナの対応をしてきて思ったのは、生物学的に、医学的に、また医療として、いろいろ考えさせられることが多かったです。
飯田)コロナ禍の3年間。
猪口)イギリスやアメリカなどは大勢が感染することで、国民全体が免疫力を獲得していくやり方を選びました。このような発想は、生物学的・医学的に正しい見方であり、こうして人類・生物は生き残ってきたのだと感じます。
飯田)感染によって免疫力を獲得して。
猪口)我々医療からすると、そういうマクロ的な視点だけではなく、患者さん1人ひとりが生きるか死ぬかという、生活においてのミクロ的な視点で関わってきました。学問的な問題や社会学的な問題だけではなく、医療とは1人ひとりに寄り添うものであるのだと、強く感じたところです。
飯田)なるほど。
猪口)我々医師会が行っているかかりつけ医の話や、入院医療の話にも考えさせられるものがあって、「こういう方向に進めていけばいいのだろうな」と、いろいろ経験値を積んだところです。
飯田)かかりつけ医や入院医療についても。
猪口)新型コロナが5類になり、いままでの経験をしっかり見直して、いいものをつくり上げていく。5類になると法律上、いろいろな制約が外れるところがあると思いますが、そういう部分をうまくつくっていけたらいいなと思いますね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます