職場のメンタルヘルスケア 「辛い」と言えるような環境が大切

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東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が5月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。精神的に病んでいる部下への管理職としての対処のしかたについて語った。

職場のメンタルヘルスケア 「辛い」と言えるような環境が大切

※画像はイメージです

静かな別室を用意し、「心配しているのだよ」と優しく話す

飯田浩司アナウンサー)管理職の立場からの職場におけるメンタルヘルスについて伺います。部下が出す「精神的に苦しい」というサインに気付き、問題に対処しなければならないとき、どのように話を聞けばいいのでしょうか?

平川)本人は「𠮟られるのではないか」と思っているので、そういうことではなく、「心配しているのだよ」という雰囲気のなかで話をすることが大事です。話をする部屋も別室を用意して、周囲を気にしないで済むような静かな環境のなかで、穏やかに話し始めるといいでしょう。

飯田)別室を用意して。

平川)本人は「自分がミスをしたのではないか」などと、精神的に不安な状態が続くことでビクビクしていますから、「そんなことで呼んだわけではないのだよ」としっかり伝えることが大事です。

飯田)本人もそれをわかっている場合が多いのでしょうか?

平川)十分わかっていると思います。「そのことで𠮟責されたらどうしよう」と思っているので、そういうことではないと伝える。「大丈夫?」「どうですか?」「心配しているのだよ」という内容を、言葉の端々に入れてあげることが大事だと思います。

指導しすぎると本人を追い込むこともあるので注意が必要 ~仕事量なども調整してあげる

飯田)なかでも管理職の人が注意すべきことには、どんなことがありますか?

平川)ご本人のことも大事ですが、自分たちが介入するというのは大きなことですよね。「自分たちの介入によってどんな影響を与えるか」を意識しなければなりません。「よかれ」と思ってどんどん突っ込んでしまうと、逆に追い込んでしまう場合もあります。つい、こちらから指導やコメントをしたくなってしまうのですが、その辺りは十分に注意するべきだと思います。

飯田)どうアプローチするのか。仕事の内容も考えなければいけないですか?

平川)そうですね。ご本人の病状にもよりますが、仕事量を少し調整してあげるなど、作業配分については常に注意を払うことが大事です。

職場のメンタルヘルスケア 「辛い」と言えるような環境が大切

平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

「辛い」と言えるような職場環境が大切

飯田)例えば仕事量を減らすことになったとき、周りの他の社員からすると「何であの人だけ仕事が少ないの?」と、いろいろな憶測を呼んでしまいますよね。この辺りはどうしたらいいですか?

平川)本人のいる前ではなく、みんなで集まって、「彼は最近疲れているみたいだから、みんなで支援しよう」と、「みんなのこと」にする。他人ごとではなく、自分のことにして環境をつくることが大事だと思います。

飯田)本人を前にしたら言いづらいし、それが引け目になるような環境をつくってはいけないということですか?

平川)そうです。どちらかというと「辛い」と言えるような職場環境が望ましいと思います。

バランスよく責任と権限を与える

飯田)仕事量や内容によっては、自分でコントロールすることが難しい場合もありますよね。

平川)責任感の強い方や、そういうときに、むしろもっとアクセルを踏んでしまうような方がいちばん危ないです。職場にはいろいろな方がいらっしゃるわけですから、まずは適材適所を選んであげる。ポイントになるのは、仕事量とその人の権限、「裁量権がどれぐらいあるか」でだいぶ変わってくると思います。

飯田)キツイ仕事でも、ある程度の裁量があれば。

平川)辛いですが、達成感や自信につながる職場になってくるのです。

飯田)そのバランスですか?

平川)責任はないけれど裁量権もないとなると、ついついやる気を失ってしまって、あまり達成感もなければ前向きにもなれない。どう与えるかですよ。

飯田)「自分なんて会社の歯車みたいなものだ。すぐ替えが効くのだ」というようなことになると。

平川)やはり生きがいもないですし、能力や業績も上がらないわけですから。そこは管理職としてうまく適所を見つけ、どうバランスよく責任と権限を与えるかが大事でしょうね。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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