ニッポン放送アナウンサーの箱崎みどりです。
今回「おさんぽアート」でご紹介するのは、東京ステーションギャラリーで開催中の「大阪の日本画」。
近代大阪の日本画が勢揃いする初めての展覧会。
実はこれ、美術史を書き換えるかもしれない画期的な催しなんです!
明治以降の日本画というと、東京や京都が知られてきたのですが、今回の展覧会は、タイトルにもある通り大阪で独自に育まれた華やかな日本画が一堂に集結しています。
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北野恒富「宝恵籠」1931年頃、大阪府立中之島図書館
大阪にはパトロンが多く展覧会に出展する必要がなかったため、画壇にとっては知られざる名品が多いのだそう。
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中村貞以「失題」1921年、大阪中之島美術館
その代わりに、パトロンと楽しむ教養、そして、求めに応じてその場で絵を描く速写力が求められたと聞き、文化の違いに驚きました。
大阪では美術史と異なる評価軸の中で、豊かな美術が作られていたんですね。
また、大阪はお稽古で絵を習う女性も多く、女流画家が多いのも特徴です。
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生田花朝《天神祭》1935年頃、大阪府立中之島図書館
今回は出展されている画家66人の内13名が女性なんですって。
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河邊青蘭「武陵桃源図」1908年、大阪中之島美術館
お話を伺うと、準備してきた学芸員の方々の熱量が高く、より多くの作品を見てもらおうと、展示替えもたっぷり。前期と後期で7割の作品が変わるそう。
私のブログに載っている作品は、すべて展示替えの対象です。
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菅楯彦「舞楽青海波」 1917年 倉吉博物館 ※5/14まで展示
展覧会オリジナルグッズも素敵で、担当学芸員の方も自腹で買ったとか。
カラーページが204ページにも及ぶ、分厚い図録も必携です。図録なら、前期と後期の作品を併せて楽しめます!
個人的には、吉川英治『三國志』の挿絵を描いた、矢野橋村の大作が見られるのも嬉しくて!
私は、挿絵でしか矢野橋村を知らなかったのですが、実は大きい画面の絵が多く、日本的要素を含んだ文人画、新南画を提唱するなど、「大阪の日本画」を引っ張っていた一人だったそうです。
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矢野橋村「不動窟」1951年、矢野一郎氏(愛媛県美術館寄託) ※展示期間:5/16~6/11
評価が定まっていない作品が多いため、先入観なく楽しむことができる「大阪の日本画」。
大阪中之島美術館で行われた際も大盛況で、アンケートを見ると、好きな絵がバラけているそうです。ぜひあなたも、お気に入りの一枚を見つけてみてくださいね。
大阪の日本画
2023年4月15日(土) ~ 6月11日(日)
休館日 月曜日[5/1、6/5は開館]
開館時間 10:00~18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202304_oosaka.html▼東京ステーションギャラリー
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目9−1
JR東京駅 丸の内北口 改札前
東京メトロ丸の内線「東京」駅(約3分)
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