親の介護の注意点 介護保険の申請はどこにいけばいい?
公開: 更新:
東京都医師会理事で「西田医院」理事長の西田伸一氏が5月16日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。介護保険制度の仕組みについて解説した。
介護保険を申請すると調査員の調査結果や主治医の意見書をもとに認定審査会で協議 ~7段階の要介護度を決める
飯田浩司アナウンサー)親の介護の備え方・注意点について伺います。厚生労働省の調べによると、公的介護保険制度の要支援・要介護認定者は年々増加していて、2025年には65歳以上の約5人に1人が要支援や要介護認定を受けることになる見通しだと言われています。「要支援」「要介護」は介護関係のニュースなどではよく出てくる言葉ですが、実際に使った経験がない方には「イメージはあるけれど、どういう分け方をしているかわからない」という方もいらっしゃると思います。詳しくはどういう分け方になっていますか?
西田)介護保険を申請される場合は、まず、患者さんあるいは家族の方が市役所・区役所に行って窓口で申請します。すると調査員がご自宅に伺い、ご本人にどの程度の生活能力があるかを調査します。
飯田)調査員の方が来て。
西田)同時に主治医が意見書を書きます。それを認定審査会で協議し、その方の要介護度を決めます。日常生活の一部に介護が必要な「要支援1」から、日常生活全般に介護を必要とする「要介護3」まで、「要支援1・2」「要介護1・2・3・4・5」の7段階で判断しています。
飯田)「要支援1」だと一部に支援が必要。それほど重くはないということですか?
西田)そうですね。
要介護の段階を認定審査会で協議して決める
飯田)この段階が上がると、何が変わってくるのですか?
西田)詳細な調査項目を全部数字で計算して、要介護時間を算出します。ですから「こういう方は要介護1である」と一言で言えるようなものではありません。
飯田)なるほど。個別に違ってくる。
西田)コンピューターで出す要介護時間ですから、マニュアルで修正する必要はあります。認定審査会において、皆さんの意見を取り入れつつ決めていく仕組みになっています。
常時介護を必要とする「要介護4・5」 ~介護時間を減らすため、施設の利用、通所や短期間の入所を組み合わせる
飯田)介護度が上がった状態の要介護4や5になると、一般的にはどんな状態になりますか?
西田)簡単に言ってしまえば寝たきり状態で、ベッド上の生活がほとんどです。あるいは身体機能の低下に加えて、認知症が重度になってきたような方たちが多いです。あとは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの特殊な神経難病やがんの終末期の方などです。
新行市佳アナウンサー)同居している場合、介護度が高くなってくると介護に必要な時間も増えてきますよね。
西田)そうですね。要介護4・5の方は24時間、常時介護を必要とすることが多いです。それを少ないご家族ですべて担おうとすると無理があります。共倒れすることもありますので、介護時間を減らすために施設の利用、通所や短期間の入所を組み合わせていくことが望ましいです。
飯田)厚労省の調査を見ても要介護4や5になると、1日中介護に携わっているという答えが全体の半数近く、あるいは半数以上となっています。そうすると、プロに任せることも選択肢に入ってくる。
西田)そう思います。無理はなさらないでいただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます