医療DXにおいて最も大事なことは「医療情報の共有化」

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東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の土谷明男氏が5月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍におけるかかりつけ医について、また、医療DXについて解説した。

医療DXにおいて最も大事なことは「医療情報の共有化」

※画像はイメージです

コロナ禍でかかりつけ医が診療してくれなかった

飯田浩司アナウンサー)かかりつけ医について、コロナ禍での話ですが、発熱した患者さんが身近なクリニックに相談したら受診を断られてしまったというケースがあったと報道されています。これはかかりつけ医という存在そのものに関わってきますね。

土谷)コロナ禍において、「あの病院が自分のかかりつけ医と思っていたけれど、診てくれなかった」という事例はあったと思います。

飯田)特に初期は。

土谷)しかし、コロナに限った話ではありませんが、どの病院でも、何でも診られるわけではありません。どんな病院でも心筋梗塞を診られるわけではないですし、がんの高度な手術ができるわけではありません。重篤な病気だけでなくても、基本的には専門外の診療はできませんし、コロナ禍の前は、「専門ではない人に診てもらいたくない」と思っていた方もいるでしょう。

飯田)患者さん側がですね。

土谷)コロナは新しい病気ですから、専門家に診てもらいたいと思っていたはずです。

飯田)専門家はいなかったわけですね。

土谷)いなかったなかで、コロナを診て欲しいと。もう1つ大事な点は、医者は普段からいっぱいいっぱいで仕事をしているわけです。そこにコロナで医療需要が増えていったわけですが、それ以上診るというのも……実際診ていたわけですが、診きれなかった。医療にも限度があるということは、わかって欲しいと思います。

医療DXにおいて最も大事なことは「医療情報の共有化」

土谷明男氏、飯田浩司アナウンサー

「デジタル化」と「DX」の違い

飯田)技術の進歩の部分で、データを共有する「医療DX」という仕組みがあります。私は昨年(2022年)の7月にコロナにかかりましたが、1度もクリニックに行かず、すべてオンラインの診療で行いました。「こんなことができるんだ」と驚きましたが、医療分野でも「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は進んでいるのでしょうか?

土谷)コロナ禍でかなり進んだところもあります。特にコロナの場合、対面で診療すれば感染したり、他の人にも感染を拡げてしまうリスクが高い。

飯田)そうですね。

土谷)直接会わずに診療できないだろうかということで、デジタルツールを使いながら医療を行うことになった。それが「医療DX」につながります。ただ、気を付けなければならないのは、デジタル化すれば「医療DX」になるのではありません。デジタル化すると手間が掛かります。

飯田)コロナのときも、「HER-SYS(ハーシス)」の打ち込みなどは大変でした。

土谷)あれは「医療DX」ではなく、デジタル化しただけです。最終的に紙を入力して集計する人たちは楽になったと思います。

飯田)なるほど。

土谷)医療に限ったことではありませんが、「DX」というのはデジタル化することで仕事の効率が上がること、仕事がやりやすくなることです。いまデジタル化が進められていますが、必ずしもそれが業務の効率性や、やりやすさにつながっているかと言うと、まだまだです。

医療情報を共有化することが大事

飯田)電子カルテのようなもので、データの共有ができれば、ある程度は負荷が減るかも知れませんが。

土谷)わかりやすいのは、医療情報の共有化です。クラウドにデータを置き、それをみんなで見るような形にする。そうすれば、同じものをみんなが見ることになります。それがいちばん大事なところではないかと思います。

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