【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1125回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、6月23日公開の『大名倒産』と『愛のこむらがえり』をご紹介します。
映画館で観たい!『大名倒産』 ~お金がない! 狙うは、奇跡の大逆転!!
数々のヒット作を生み出し続けている人気ベストセラー作家・ 浅田次郎による「大名倒産」。笑いあり涙ありの痛快ストーリーは瞬く間に読者の心を掴み、大きな話題となりました。
そんな傑作時代小説が、ついに実写映画化。いまや松竹映画のお家芸となった、“チャンバラシーンが登場しない時代劇”シリーズ。絶体絶命のピンチから一発逆転を目指して奮闘する人々の姿を描いた、痛快エンターテインメントです。
『大名倒産』のあらすじ
越後・丹生山藩の鮭役人の子として生まれた、間垣小四郎。商売は決して上手くないものの、その人柄のよさから周囲の人に慕われ、平和に暮らしていた。
ところがある日、小四郎は父から衝撃の事実を伝えられる。何と自分は、徳川家康の血を引く大名の跡継ぎ・松平小四郎なのだと。
庶民から若殿へ、華麗なる転身を遂げたかのように見える小四郎だったが、実は小四郎が治める丹生山藩は25万両(約100億円)もの借金を抱える貧乏藩だった。
先代藩主・一狐斎は小四郎に「大名倒産」、つまり藩の計画倒産を命じる。幼馴染のさよ、兄の新次郎、喜三郎たちとともに、節約プロジェクトを始める小四郎だったが……。
『大名倒産』のみどころ
主人公・松平小四郎を演じたのは、名実ともに国民的俳優となった神木隆之介。
お殿様になった途端に次々とピンチに見舞われる“巻き込まれ系プリンス”を、愛嬌たっぷりに熱演。その一方で若きリーダーとしての葛藤や成長を、見事に体現しています。
共演には杉咲花、松山ケンイチ、小日向文世、小手伸也、桜田通、宮﨑あおい、浅野忠信、佐藤浩市など、超豪華キャストが集結。
彼らが演じたのは、いずれもクセが強すぎるキャラクターばかり。他の作品とはひと味違った、日本を代表する実力派俳優たちの“振り切った演技”は必見ですよ。
使わない武具や家財道具は売ってしまう「リサイクル」。参勤交代での宿は、野宿ならぬ「キャンプ」。不要な家屋も処分して、別々に暮らしていた兄弟で仲よく「シェアハウス」。
小四郎が実践する節約術は、現代の日本で注目されているアクティビティに置き換えることができて、いつの時代も“節約の基本”は同じなのだなぁ~と、気づかされるのは面白いところ。
どんな困難が起こっても、きっと“抜け道”はある。希望はある! 小四郎と仲間たちの奮闘ぶりから、さまざまな問題を抱える“いまのニッポン”で生き抜くヒントを探してみて。
コチラも映画館で観たい!『愛のこむらがえり』 ~磯山さやかの笑顔は無敵!
香織と浩平は、映画製作を夢見る同棲8年目の崖っぷちカップル。若さもお金もないけれど、お互いの夢と才能を信じる気持ちだけは誰にも負けない! そんな2人が織りなす悲喜こもごもを描いた『愛のこむらがえり』。
主演を務めたのは、『まいっちんぐマチコ!ビギンズ』以来18年ぶりの映画主演となる磯山さやかと、劇団東京乾電池の最終兵器・吉橋航也。コントや舞台で腕を磨き続ける2人が生み出す、温かくもゆる~い空気感にクスリと笑ってしまう人も多いことでしょう。
映画が大好き。でも、“映画で食べていく”ことは難しい。ましてや安定した結婚生活を送るなんて、もっと難しい。
主人公が抱える葛藤とともに、映画業界の“あるある”を映し出した秀作。映画を愛してやまない人たちに届けたい、ハートフルな1作です。
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『大名倒産』
2023年6月23日(金)から全国ロードショー
出演:神木隆之介、杉咲花、松山ケンイチ、小日向文世、小手伸也、桜田通、宮﨑あおい、キムラ緑子、梶原善、勝村政信、石橋蓮司、髙田延彦、藤間爽子、カトウシンスケ、秋谷郁甫、ヒコロヒー、浅野忠信、佐藤浩市
原作:浅田次郎「大名倒産」(文春文庫刊)
監督:前田哲
脚本:丑尾健太郎、稲葉一広
音楽:大友良英
主題歌:「WONDERFUL」GReeeeN(ユニバーサル ミュージック)
企画・配給:松竹
(C)2023映画『大名倒産』製作委員会
公式サイト https://movies.shochiku.co.jp/daimyo-tosan/
『愛のこむらがえり』
2023年6月23日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
出演:磯山さやか、吉橋航也、篠井英介、菜葉菜、京野ことみ、しゅはまはるみ、和田雅成、伊藤武雄、小西貴大、前迫莉亜、藤丸千、川村那月、浅田美代子、菅原大吉、品川徹、吉行和子、柄本明
監督:髙橋正弥
製作:宮引喜八
企画:加藤正人、井出清美
エグゼクティブプロデューサー:小河政宏、松枝佳紀
原作:加藤正人、安倍照雄
脚本:加藤正人、安倍照雄、三嶋龍朗
音楽:宮原慶太
エンディング曲:VOLOMUSIKS「夢がよぶほうへ」(SELECTIVE RECORDS)
配給:プラントフィルムズエンタテインメント
(C)『愛のこむらがえり』フィルムパートナーズ
公式サイト https://aikomu-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/