小児の「溶連菌感染症」に効く抗生物質が不足
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。溶連菌について語った。
細菌によって発症する「溶連菌感染症」 ~高熱と喉の痛み
飯田浩司アナウンサー)今回は溶連菌感染症について伺います。どのような感染症なのでしょうか?
川上)溶連菌の正式名称は「溶血性連鎖球菌」と言います。ウイルス性の感染症ではなく、細菌によるものです。治療には抗生物質が効きます。
飯田)どんな症状が出るのですか?
川上)発熱と喉の痛みがメインなので、ヘルパンギーナと似ています。ただ、診察で喉を見るとヘルパンギーナとは違い、扁桃腺が腫れて白い苔のようなものが付いているのが特徴です。
飯田)白い苔のようなものが。
川上)すべてのお子さんではないのですが、一部には体に発疹が出ます。「Dick毒素」による発疹なのですが、この発疹が出て体全体が赤くなることから、以前は「猩紅熱」という病名が付いていました。
飯田)熱はどのくらいになるのですか?
川上)39度~40度近く出ます。
飯田)かなり出ますね。そうすると、脱水や消耗も激しくなりますか?
川上)そうですね。その意味では、ヘルパンギーナと同じように高熱で消耗し、喉の痛みで「食べられない、飲めない」という二重苦になるので、管理はとても難しいです。
抗生物質の投与で1日~2日以内に熱が下がる
飯田)細菌のため抗生物質が使えるので、その投与から始めていく感じですか?
川上)診断がつけば抗生物質を使います。抗生物質を使うと、1日~2日以内には熱が下がります。喉の痛みはしばらく続きますが、その意味では、何もできず対症的に様子を見るヘルパンギーナが3日~1週間コースなのに比べると、早く楽になることができます。
抗生物質が不足
川上)ただ、いまは抗生物質が不足している問題があり、私たち小児科医は戦々恐々としています。
飯田)不足しているのですか?
川上)コロナ禍以後、原材料の不足や感染症の全体的な増加で需要が増えていることもあり、抗生物質が不足しています。ですので、できる限り予防していただきたいと思います。
免疫を持っていなければ年齢を問わず重症化する可能性のある麻疹
新行市佳子アナウンサー)他に気になる感染症の流行はありますか?
川上)少し落ち着いてきていますが、ゴールデンウィークくらいに麻疹の話が出ましたよね。
飯田)ありましたね。
川上)麻疹に関しては、免疫を持っていない方は年齢を問わず重症化するので、注意が必要です。特に年齢によっては、ワクチンの定期接種を1度も受けていない、あるいは1度しか受けていない世代もあるので、どの世代が罹っても怖い病気です。
飯田)麻疹はなぜ流行ったのですか?
川上)ワクチンを打っていない世代があることと、海外ではいまも流行している国があります。コロナが5類に移行し、皆さん海外旅行を再開されていますよね。ビジネスでも海外に行くような方が海外で感染し、潜伏期間中に日本国内に戻って来ると、ちょうど日本国内で移動中に発症する。そこから接触のあった方たちにうつります。麻疹は空気感染するので、感染力が強い病気です。
飯田)飛沫ではなく空気感染ですものね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます