東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が8月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。子どもと熱中症について語った。
子どもと熱中症
飯田浩司アナウンサー)今回は子どもと熱中症について伺います。特に夏休みは屋外でのイベントも多くなりますので、そういうところでの発症が増えますね。
尾﨑)室内でも高温になる環境、湿度が高い環境であれば、危険な状態にはなります。
飯田)空調のない体育館などで活動していても、「日陰だから大丈夫だろう」にはならない。
暑さ指数(WBGT) ~湿度、日射・輻射(ふくしゃ)、気温の3つを取り入れた指標
尾﨑)なりません。いまは「暑さ指数(WBGT)」がありますので、これを参考にしていただきたいと思います。湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標です。
飯田)暑さ指数の歴史は長いのですか?
尾﨑)アメリカでは以前から使われています。東京オリンピックのときも、マラソンなどではWBGTによって、危険かどうかを我々が協議しました。
「WBGT」が28~31は「厳重警戒」、31以上は「危険」 ~子どもは体温調節が未熟なので注意を
新行市佳アナウンサー)本日の暑さ指数を調べてみたところ、いまの時点で30.4と出ています。
尾﨑)31以上は「危険」となります。つまり、高齢者は安静にしていても熱中症になる危険があるということです。一般的には31以上になると、スポーツはすべてしてはいけないというレベルになります。
飯田)30.4は「危険」の1つ下の「厳重警戒」ですね。
尾﨑)厳重警戒です。
飯田)運動も、激しい運動は中止する。
尾﨑)そうです。「きょうは気温が低いから」と安心はできない。気温が低くても、湿度が高ければ危ないわけです。複合する要素で危険度を判定するのが暑さ指数です。学校などでも暑さ指数で判断していただくのがいいと思います。
飯田)それぞれの現場で。
尾﨑)やはりお子さんはまだ成長期なので、体温調節が十分にできないところがあります。また、体の水分量が多いので容易に脱水症状になってしまいます。大人と比べて熱中症になりやすいので、注意してあげなくてはいけません。大人の感覚で「このくらいなら大丈夫だろう」と判断しないでください。
子どもは大人より地面からの照り返しを受けやすい
尾﨑)「昔も暑かったけれど、我々も炎天下で運動もしたし、朝礼も大丈夫だった」というようなことを言う学校の先生もいますが、いまは昔とは温度が違うのです。
飯田)昔の暑さではないですね。
尾﨑)スポーツをやっていて鍛えている子どももいますが、炎天下でスポーツをさせたり、朝礼でずっと立たせたりすると、耐えられない子も少なくありません。
飯田)しかも、大人より心臓や顔の位置が低いところにありますものね。
尾﨑)地面からの照り返しを受けやすく、体感温度が大人と違うのです。暑い日でも、「予定してしまったからやろうか」というようなことがあると思いますが、見直してもらいたいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます