東京都医師会が運営する「東京総合医療ネットワーク」

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東京都医師会理事で「目々澤醫院」院長の目々澤肇氏が8月15日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。東京総合医療ネットワークについて解説した。

東京都医師会が運営する「東京総合医療ネットワーク」

※画像はイメージです

電子カルテ情報を新しい標準規格のHL7 FHIRで共有

新行市佳アナウンサー)東京都で既に取り組んでいる医療DXは、どのような形になっているのでしょうか?

目々澤)国の医療DXで用いられる電子カルテ情報の標準化は、HL7 FHIRという形になっています。以前からある医療情報共有は、同じく厚生労働省の標準規格であるSS-MIX2という規格です。これはかなりクラシックなもので、15年~20年の歴史があります。

飯田浩司アナウンサー)15年~20年。

目々澤)これで電子カルテが情報を書き出せれば、「違う病院でも情報共有ができるだろう」と言われていました。

飯田)SS-MIX2で。

目々澤)ところが政府系の調査で、きちんと利用されていないことがわかりました。なぜかと言うと、電子カルテのメーカーが違う場合、SS-MIX2で書き出しても流れないのです。

東京総合医療ネットワーク

目々澤)相手の病院が出せる規格のビューアーを院内に持ち込むとか、タブレットや専用のパソコンで見るような形にしないと、電子カルテのなかでは見ることができません。

飯田)SS-MIX2では。

目々澤)それを何とか通そうとして始めたのが、東京総合医療ネットワークです。そのなかで、SS-MIX2をIHEという標準規格に修正します。このコンバートはそれほど難しいものではありません。そうすれば各電子カルテのベンダーさんの方言を読み取ることができ、お互いの病院で相手の病院の情報を見ることができる。それをいま広げているのです。

飯田)先生がやっているのは、ある意味で間に入って翻訳するような作業なのですね。

目々澤)インタープリターですね。

飯田)やり取りするデータは、ある程度絞り込んだものになるのですか? それともすべてですか?

目々澤)すべてできるようにはしたいのですが、お互いが流せるデータの中身は限られています。処方で出した薬、注射した薬、血液検査のデータ、病名、アレルギー情報などです。

飯田)すべてではなく。

目々澤)これも初めは流せる情報が少なかったのですが、徐々に広げていって、キー画像という患者さんのレントゲン写真やMRIくらいは、PDFやGIFなどで流せるようになっています。

東京都医師会が運営する「東京総合医療ネットワーク」

新行市佳アナウンサー、目々澤肇氏、飯田浩司アナウンサー

東京総合医療ネットワークに参加しているのは35病院

飯田)このネットワークのシステムには、どのくらいの病院が参加しているのですか?

目々澤)現在は35病院です。

飯田)主要な病院が入っているという感じですか?

目々澤)なかなか主要な病院というわけにはいきません。大学病院で入ってくれているのは、いまのところ2つです。

飯田)しかし、コロナ禍では広域搬送せざるを得ない状況もありました。そのようなときに患者さんの情報がわからないと、医療者としては手出しのしようがありませんよね?

目々澤)そうですね。こちらでまた新たに取ってみようかなど、患者さんの状態はライブなものも大事なので、それは当然やらなければいけないことです。

患者が病院に運び込まれる前に患者の情報を見ることができるようにする

目々澤)しかし、患者さんが着く前にその患者さんのデータがわかっているという利用の仕方も、今後はしていかなければいけない。「救急のときだけは情報を見られるように実現して欲しい」ということが、救急の現場で診療を行っている先生方からの強い要望です。

飯田)投薬情報がわかるだけでも、「この薬との飲み合わせはダメだ」とすぐに判断できますものね。

目々澤)もちろんそうですね。

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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